「毎日がお祭り騒ぎ」“ヤベー高齢者”と向き合うケアマネが明かす介護現場のリアル

『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常 記憶に残らない個人の記憶をたどる』KADOKAWA 1,300円(本体価格)

『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常』著者:ケン
ケン:介護歴約20年、主任ケアマネ14年目。自らをエルフと思い込むおじさんケアマネ。株の資産推移を毎日死んだ目で見ている。

“キラキラ介護”への違和感から生まれた漫画

──ケアマネの日常を漫画にしようと思ったのはなぜですか?
ケン 2022年に休職中の暇つぶしで絵を描いてTwitterに投稿し始めました。ケアマネの漫画が少ないと気づいて試しに描いてみたら反応が良く、そのまま続けることに。ネットの介護漫画は「職員の努力で素晴らしいケアが実現」系のキラキラエピソードの作品が多く、自分の経験とかけ離れていたのも動機のひとつです。

──本人が届かない箇所のエアコンの電源が抜けている。よくあるケースだとか。
ケン 高齢者の不思議な行動は尽きません。痩せて代謝が落ちるととにかく寒がりになり、夏場でもエアコンをつけずに厚着をして、救急搬送される──なんてことも珍しくありません。ただ、「なぜそうするのか」は健常者の常識では測れない。高齢者には高齢者なりの理由があるはずで、20年介護を続けてもその答えはまだ分かりません。自分が80歳になったとき、初めて分かるのかもしれない。それが少し楽しみでもあります。

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幸せな家庭が崩壊…ゴミ屋敷に残された孤独

──長い介護歴の中で、特に印象に残っているエピソードを教えてください。
ケン 10年前まで幸せな家庭を築いていた人が、認知症をきっかけに家族と絶縁し、ゴミ屋敷で独り暮らすようになったケースがありました。悪臭の漂う部屋でゴミに埋もれて横たわる姿を前にすると、言葉が出ません。人生とは何か、家族とは何か…。答えのない問いが頭をぐるぐると回ります。

──介護の現場はきついイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
ケン 在宅も施設も経験しましたが、身体的なつらさより、職員間のいざこざや家族対応に消耗することの方が多かった気がします。「施設に入れれば安全」と思っている家族は多く、施設側も事故防止に努めますが、高齢者はこちらの想定を軽々と超えてきます。対策を講じても、そのハードルをあっさり乗り越える。毎日が予測不能で、ある意味お祭り騒ぎです。

──介護現場を描く際に、気をつけていることはありますか?
ケン 介護現場は閉鎖的で、中で何が起きているか外からは分からない。でも、いざ親の介護が始まると誰もが気づきます。「毎日がお祭り騒ぎ」だと。そんな現場のリアルを、なるべくフラットに伝えたいと漫画を描いています。他人事として笑うもよし、将来の自分として身構えるもよし。いろんな角度から見てもらえたらうれしいです。
(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」4月23日号より