「おまえに言われたくない!」大谷に怒鳴った佐藤輝…WBC内紛の全貌【侍ジャパン惨敗の真相1】

■佐藤輝の「許されない暴言」が招いた一触即発

そして3月6日、侍ジャパンの初戦となる1次ラウンドの台湾戦。大谷や鈴木誠也(31、カブス)のホームランなど打線が爆発し、チームは13対0と大勝する。

試合中には、大谷の満塁本塁打をはじめとする歓喜のシーンであの「お茶たてポーズ」が連発され、ベンチのボルテージは最高潮に達していた。しかし、チームが歓喜に沸く中、佐藤輝だけがその輪から外れて面白くない表情を浮かべていた。そして試合後、ベンチ裏である事件が勃発する。

大敗を喫した台湾の監督が三塁ベンチ前で人目をはばからず泣いていた。その姿を見た佐藤輝が、あろうことか不適切極まりない暴言を吐いたのだ。

「負けてみっともない」

■大谷翔平が静かに激怒――「それは相手に失礼だ」

この心無い言葉を耳にして黙っていられなかったのが大谷だ。大谷といえば、どんな相手にもリスペクトを忘れないスポーツマンシップの塊のような男である。

大谷は佐藤輝のもとへ静かに歩み寄ると、落ち着いた口調で「それは相手に対して失礼だ」と注意した。だが、大谷への過剰なライバル心をこじらせた佐藤輝にとって、この忠告は到底受け入れられるものではなかったようだ。

「そんな事をおまえに言われたくない!」

佐藤輝は大谷に対してケンカ腰で怒鳴り返した。

■内紛は「ベンチ外す」通告でようやく収束

この異常事態に気付いた近藤健介(32、ソフトバンク)が文字通り2人の間に割って入り、「大谷の言う通りだ」と佐藤輝を大谷から引き離したが、あわや乱闘事件に発展しかねない一触即発の険悪なムードとなったという。

しかも、事態はこれで終わらなかった。怒りが収まらない佐藤輝はその後、暴走する。スタメンを外されたことについて記者から問われた佐藤輝は「俺はベンチにいるために来たんじゃない」。不満を口にしてしまったのだ。

首脳陣がようやく動いたのは試合後の全体ミーティングでのことだった。井端弘和代表監督(50)は静かに言い含めるような口調ながら、「大谷に謝らなければメンバーから外す」と通告し、佐藤輝もこれを受け入れたという。

翌7日の韓国戦に勝利し、迎えた8日のオーストラリア戦。佐藤輝は代打で2塁打を放ち、ベース上で「お茶たてポーズ」をやってみせた。

【侍ジャパン惨敗の真相1】へ続く

取材・文/スポーツジャーナリスト・吉見健明

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【吉見健明】

1946年生まれ。

スポーツニッポン新聞社大阪本社報道部(プロ野球担当&副部長)を経てフリーに。

法政一高で田淵幸一と正捕手を争い、法大野球部では田淵、山本浩二らと苦楽を共にした。

スポニチ時代は〝南海・野村監督解任〟などスクープを連発した名物記者。『参謀』(森繁和著、講談社)プロデュース。

著書多数。