【特集】王貞治868本は「超常現象」…プロ野球「最強ホームランバッター」は誰だ?【本塁打王伝説1】

王貞治(C)週刊実話Web

野球というスポーツにおいて、ホームランほど残酷で、かつ美しい幕切れはない。

投手が投じる渾身の一球が、バットの芯を喰った瞬間の「乾いた音」。打った瞬間に確信する打者と、天を仰ぐ投手。白球が重力に抗うように空へ溶け込み、スタンドの喧騒が地鳴りのような歓喜へと変わる。

日本のプロ野球(NPB)が産声を上げてから約90年。我々ファンは、幾多の強打者たちが作るドラマに酔いしれてきた。しかし、ここで一つの問いが立ちふさがる。

「結局、歴代で最も凄かったホームランバッターは誰なのか?」

通算本塁打数か、単年での爆発力か、あるいは「ここ一番」の威圧感か。2026年、村上宗隆と岡本和真という二人の怪物が海を渡った今、改めて「最強」の定義を紐解いてみたい。(全2回中の1回)

不滅の金字塔、王貞治という「絶対基準」

「最強」を語る際、避けては通れない、あるいは議論を終わらせてしまう存在がいる。それが王貞治だ。

通算868本塁打。この数字はもはや、スポーツという枠を超えた「超常現象」に近い。2025年シーズンが終了した現在でも、日本の球界においてこの記録に迫る者すら現れていないのが現実だ。

王の凄みは、単なる積み重ねの数だけではない。特筆すべきは、その「効率」だ。王の現役生活における本塁打率(AB/HR:1本打つのに要する打数)は、驚異の10.66である。

比較対象として、ミスタープロ野球・長嶋茂雄は約18打数、平成の怪物・清原和博は約15打数だ。つまり、王貞治は打席に10回立てば、必ず1回はダイヤモンドを一周していた計算になる。

「一本足打法」という、物理学の常識を覆すほど繊細でダイナミックなフォーム。そこから繰り出される打球は、当時の重い圧縮バットをものともせず、ラッキーゾーンを越えて飛んでいった。

王が全盛期に現代の反発係数ギリギリのバットと、徹底されたコンディショニングを手にしていたら、その数字は「1000」を超えていたのではないか。そんな空想すら、王貞治という名前の前ではリアリティを持つ。

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