ディズニーは舞浜ではなくフロリダ…名門小ママが直面した「身の丈不相応」な格差地獄

うどんのためだけに香川へ ディズニーはフロリダ

「子どもには豊かな経験をさせたい」という教育方針は皆共通しているそうだが、いざ実行に移そうとするとやはりズレが生じる。

「海に行きたいと言うとハワイだし、船に乗りたいと言えば豪華客船。冗談ではなく、イカを食べるためだけに函館に行ったり、うどんを食べるためだけに香川県に行くんです。ディズニーランドに行く計画を立てようと言われた時も舞浜ではなくフロリダでした。何十万、ヘタしたら100万以上かかる旅行においそれと行けるわけがありません」

――かといってうちの子だけ置いてきぼりは可哀想…。そう考えた真美さんはなんとかひとり分の旅費を工面し、子どもだけ連れて行ってもらうこともあったという。

「皆さんが快く連れて行ってくれるので、つい厚意に甘えてしまいますが、本当はイヤなんです。面倒をかけていないか? という心配もそうですが、何より贅沢な過ごし方に慣れてしまうのが怖い」

「戦時中?」と笑う子 親の価値観が届かない

こういった付き合いを続けて行くうちに真美さんのお子さんは値段を見ずにモノを欲しがるようになったり、節約や倹約を「バカバカしい」と嘲笑するようになったという。

「『身の丈に合わない贅沢はダメだよ』と言ったことがあるんですが『何、それ? 戦時中?』と笑われてしまいました。お金は有るに越したことはないけど、お金を使わない豊かさや、わきまえるということを知って欲しかったんです」

だが、そんな親心が小学校低学年の子どもに伝わるわけがなく、真美さんのお子さんの価値観はどんどんおかしくなって行く。

「それまで自宅で行っていたお誕生会をレストランでやりたいとか、私の手料理ではなく、有名店のケータリングを頼もうと言い始めました。よそのお宅の誕生会では、フランス料理店を貸し切りにしたり、自宅に職人さんが来て、目の前でお寿司を握ってくれたりしたそうです。プレゼントも何万単位のものを贈り合いますし、我が家の経済力では正直キツイです」

「あの家の子に生まれれば」親として感じた敗北感

「子どもに肩身の思いをさせたくない」一心でお付き合いを続けているものの、財布には限界がある。

「それとなく子供には言い含めていますが納得が行かないようです」

最近では「●●さんちの子どもに生まれれば良かったなあ」などと口にすることがあるそうで「私たちなりの愛情や信念が伝わっていないことに親として敗北感を味わっています」とうなだれる真美さん。

資本主義の在り方が問われている昨今ではあるが、現実的に貧富の差が広がっている日本において、経済格差を乗り越えるのは困難なようだ。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。