ホルムズ海峡の「機雷」が暴く日本経済の急所 米・イスラエルのイラン攻撃と「1リットル200円超」の衝撃シナリオ

経済の「ダブルパンチ」:原油高と円安の狂騒曲

さらに事態を悪化させているのが、為替市場の動きだ。中東で火の手が上がれば、投資家はリスクを避けるために「安全資産」とされるドルを買う。結果として、為替相場では急激な円安が進む。

原油価格そのものが「ドル建て」で高騰しているところに、円安が追い打ちをかける。高騰した原油を、安くなった円で買わなければならない。この二重苦が、日本の輸入企業を、そして最終的には消費者を限界まで追い詰めている。

専門家が指摘するように、今回の事態は「スタグフレーション」という最悪のフェーズへの入り口に差し掛かりつつある。景気が冷え込み、賃金が上がらない中で、生活必需品だけが容赦なく値上がりしていく。

野村総合研究所の木内登英氏による試算では、情勢がさらに悪化した場合、日本のGDPは押し下げられ、電気代・ガス代も半年から1年の間に1割を超える上昇となり、国民生活に深刻な逆風が吹くとされる。

これは、国民一人ひとりが「見えない増税」を課されているのと同じ状況だ。

食卓を襲う「中東の火の粉」

影響はガソリンスタンドだけにとどまらない。私たちの目の前にあるパンや牛乳、野菜の価格にも「機雷」の影響は及んでいる。

現代の農業は、肥料の製造からビニールハウスの暖房、さらにはトラクターの燃料まで、その多くを石油と天然ガスに依存している。

また、日本が輸入する食料の輸送コストも、船の燃料代高騰によって跳ね上がる。スーパーの棚に並ぶ商品の価格改定は、これからが本番だ。一度上がった物流コストは、たとえ明日海峡の機雷がすべて消え去ったとしても、すぐには元に戻らない。「撤去報道」に安堵している暇はないのだ。