WBCキューバ代表コーチが入国できず——W杯にも影を落とす米国ビザ問題

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WBC直前に起きた"異例のビザ拒否"

三月のWBC開幕を目前に、キューバ代表を揺るがす事態が起きた。米国政府が、代表団のうち8人のビザ発給を拒否したのだ。

対象には連盟会長、事務局長、投手コーチらが含まれ、キューバ野球・ソフトボール連盟は「大会の趣旨に反する」と強く抗議した。選手のビザは全員発給されているため試合は成立するが、指揮系統の中枢が欠けたまま戦う可能性が浮上している。

この「選手は入れるが、コーチは入れない」という線引きは、スポーツの現場に政治が深く入り込んでいることを象徴している。

背景にある米国の入国管理強化

今回のビザ拒否は、トランプ政権が進める入国管理の厳格化と無関係ではないとみられている。米国とキューバの関係は近年再び緊張を強め、制裁や審査強化が続いている。

また、同じく今大会に出場するプエルトリコも米入国の際に特別なライセンスが必要になると伝えられており、影響はキューバだけにとどまらない。

USAトゥデイは今回の問題を「トランプ政権下での入国管理法の強化に関連している」と報道。トランプ政権は現在、75カ国に対する移民ビザ(永住・就労目的)の手続きを停止・遅延させており、その対象にはW杯出場国も複数含まれている。

ただし、この措置は観光・短期滞在ビザには直接適用されないため、W杯観戦ファンや選手団への影響が即座に生じるわけではない。

問題の本質はむしろ別のところにある。入国管理が厳格化されるという「空気そのもの」が、国際スポーツの現場に広がりつつあるということだ。

キューバは"野球大国"。コーチ不在の影響は甚大

キューバは過去5大会すべてで一次ラウンドを突破し、2023年大会では準決勝に進出した強豪だ。今大会も巨人のライデル・マルティネス、ソフトバンクのリバン・モイネロ、元中日で現ブルージェイズのジャリエル・ロドリゲスら実力者が名を連ねる。

そのチームからコーチ陣が引き剥がされる影響は計り知れない。配球、試合中の修正、メンタルケア——プロの現場でコーチが担う役割は大きく、選手だけで戦うことは明らかに不利だ。キューバ連盟が「大会の公平性を損なう」と強く反発するのも当然だろう。

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