「隣の声が地獄」か「最高の共鳴」か。King Gnu井口理“合唱推奨”が突きつけたライブ文化の分岐点

画像はAIで生成したイメージ

アーティストの生歌を全身で浴びたいファンと、その歌に声を重ねて一体化したいファン。今、日本のライブ会場では、この二つの純粋な願いが真正面からぶつかり合っている。

その火種となったのが、King Gnuのドームツアーで井口理が放った、あまりにも率直なMCだ。ライブ中、観客の「隣の人の声がうるさくて聴こえない」という不満に触れ、井口は少し笑いを含んだ口調でこう言い切った。

「なんか『隣の人の声がうるさくて聴こえないんだよ』って声も聞こえますが、僕としては求めてることなので。ガンガン歌ってもらって。隣の声がうるさいと思ったら、それ以上に歌ってください!」

この“遠慮ゼロ”の宣言は、会場の空気を一気に沸騰させた。「これこそライブだ」と歓喜する声がある一方で、「静かに聴きたい派」にとっては逃げ場のない宣告にも聞こえた。

B'zの現場でも起きている「歌う派vs静かに聴きたい派」のジレンマ

この論争はKing Gnuに限らない。圧倒的な歌唱力を持つアーティストの現場ほど、同じ問題が深刻化している。

たとえばB'zのライブでは、稲葉浩志の声を“一音たりとも逃したくない”というファンが多い。そのため、隣の観客が全力で歌い上げる声が没入感を削ぐという声も根強い。

ネット上には、「お金を払って本人の声を聴きに来ているのだから、バラードでの独唱を邪魔するのは鑑賞権の侵害では」という切実な意見もあれば、「爆音の中で自分を解放し、アーティストと共に叫ぶのがロックの醍醐味」という熱い主張もある。

どちらも“愛ゆえの正義”であり、だからこそ現場での摩擦は深まるばかりだ。

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