「愛と知性とユーモアが必要だから、バカにはできない」毒蝮三太夫が語る毒舌の真髄

『愛し、愛され。』KADOKAWA 1,800円(本体価格)

『愛し、愛され。』著者:毒蝮三太夫
どくまむし・さんだゆう:1936年、東京生まれ。本名、石井伊吉。日本大学芸術学部映画学科卒業。12歳で俳優デビューし、『ウルトラマン』などの多くの作品に出演。’69年からパーソナリティーを務めるTBSラジオ『毒蝮三太夫のミュージックプレゼント』は、半世紀以上にわたって続く長寿コーナーとして知られる。

名付け親の立川談志に感謝

──玉袋さんと大いに盛り上がっていますね。
毒蝮 あいつはオレのことを「師匠」と呼ぶけど、年の離れた友達みたいなもんだよ。いやいや、「昭和の横丁の隠居と与太郎」だな、ハハハ。でもね、今回の対談を通じて、あいつの出自やさまざまな辛い経験のことを知って、「こいつはこんな負のスパイラルに絡め取られてきて、よくまともな人間になったな」と感心したよ。オレも経験していないような話を聞けて勉強になった。お笑いに目覚めて、ビートたけちゃんに出会ったことも良かったんだろうね。これからは目の前の仕事を大事にして、さらに玉らしい自分にしかできない仕事をやってほしいね。

──毒蝮さんといえば毒舌ですが、意識していることはあるのでしょうか?
毒蝮 オレは、毒舌がトレードマークのように言われるけど、毒を吐くのはなかなか難しいんだぜ。毒の根底には愛と知性とユーモアが必要だから、バカにはできないぞ。人を貶める悪口や誹謗中傷とは全然違うんだ。毒舌は素直に小細工をしないで話しかけることが大切なんだ。「おじいちゃん、お元気ですね」じゃ口先だけな感じだろ。「このジジイ、図々しいくらいに元気だな」と言った方が心が伝わるよ。それが毒舌の真髄だ。毒を吐けるようになったのは毒蝮三太夫という芸名もある。名付け親の立川談志のおかげだよ。

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人生100年時代の“低空安定飛行”

──これから老後を迎える人が、気をつけることはありますか?
毒蝮 人生100年の時代では60なんて折り返し地点だ。オレからしてみればまだヒヨッコだよ。だからこの先は、前半の人生で蓄積したものを活かして、人のためになる人生を送るのがいいかもしれないな。ただし、確実に体力は衰えるし、健康面で不安になる場合もある。だから年齢に抗わないで自然に楽しく生きていくのがいいんじゃねぇのかな。低空飛行でいいから安定飛行を続けていけばいいんだよ。そして笑顔と素直さを備えたみずみずしくチャーミングなジジイババアになっていけよ。

──本書で人生を見つめ直すきっかけができたと評判になっています。
毒蝮 こんなに嬉しいことはないよ。ただ、オレもこの本を通じていろんなことを教わったからチャラ、五分と五分だ。そうか、この本のタイトル『愛し、愛され。』の意味が、今それで分かったよ。「愛」は人生を営むうえでの根本だからな。その「愛」をキャッチボールして、プロレスラーのように「愛してます!」って叫べば、豊かな人生を送れるかもしれないぞ!
(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」3月5・12日号より