鳩山由紀夫を政治家にした妻・幸さんの“操縦術”と政権崩壊の舞台裏

70%の支持率を集めた鳩山内閣の失墜

夫妻はその後に帰国、鳩山はやがて学者から政治家に転身することになる。
『鳩山一族』(伊藤博敏著・ぴいぷる社)には、以下のような一文がある。鳩山の知人が、幸との結婚で生まれた自信が、鳩山を政治の世界に向かわせたと、証言しているのである。

「鳩山は、自分が政治家に向いてないと思っていました。しかし、鳩山家には、政治家にならなければ一人前でないような、そんな無言の圧力があるんです。鳩山が『俺も』と思ったのは、幸さんが自信をつけさせたからですよ。彼女の『あなたなら大丈夫。心配しないで』という一言が、政治の道へ向かわせたのだと思う。方向を決めたのは鳩山本人ですが、それを決断させたのは幸さんです」

その幸は鳩山が首相に就任する直前、週刊誌のインタビューを受けて、夫婦円満の秘訣を含めた「夫操縦術」の一端を語っている。

「これまでの家族のあり方を変えるところから、新しい政治はスタートすると思っています。〈中略〉例えば、朝に顔を合わせたとき、元気よく『おはよう!』と言ってみる。ご主人が出かけるときは、『今日もかっこいいね』と声をかけてみるとか、とにかくご主人が驚くようなことを、妻の側からやってみることが必要だと思います。〈中略〉鳩山も言ってますが、家庭にいちばん必要なのは『愛』ということです」(『女性自身』平成21年8月4日号)

夫婦関係も政治もまた同じ、幸はこれこそが鳩山家伝来の「友愛精神」だと言いたげだった。

しかし、首相就任時、長い自民党支配に飽きた国民から「新風」を期待され、じつに70%の支持率を集めた鳩山内閣は、政権発足から早くも3カ月で世論の失望を買うことになった。

自民党とは一線を画した「政治主導による脱官僚」と「行政の無駄排除」を2枚看板としたマニフェスト(政権公約)を高々と掲げて、鳩山自身「2期4年、党の代表と総理を続け、なんとかマニフェストを実現させたい」と意気込んでいたにもかかわらず、目に余る凋落ぶりである。