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『ロウニンアジ』沖縄県那覇市/安里川産〜日本全国☆釣り行脚

『ロウニンアジ』沖縄県那覇市/安里川産〜日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

せっかくの沖縄出張だというのに、上からの命令は「日帰り」。「すまじきものは宮仕え」とはよくいったもので、準備しようにも気が入りません。

日程は朝イチの航空便で、那覇着→正午すぎまで先方と打ち合わせ&視察→夕方の便に乗って帰路に…というもの。しからばワタクシがすべきこと2つ。

①復路便の航空券を、なるべく遅めにして手配する

②小さめの旅行カバンに安物の振り出し竿3本と出来合いの仕掛けやハリなどを忍ばせる

この2つがせめてもの抵抗と言いますか、勤め人の知恵でありましょう。せっかく沖縄まで行くのですし、隙あらば釣りができるかもしれませんからね。もちろん、釣りは仕事のついでですから、あくまでも〝隙あらば〟。でも、思いのほか仕事が早く終わって「嗚呼、こんなことなら釣りの用意をしてくればよかった…」と悔しい思いをしないためにも、諸々の準備をしておくのが得策です。合い言葉は〝仕事優先。釣り最優先〟。〝隙〟はあるのではなく、努力して自分で作るのです。

ということで、那覇には午前中に到着。早めの昼食を済ませてから打ち合わせに入ります。まぁ終始「心ここにあらず」状態でしたが…。

話もうまくまとまり、14時頃には任務完了。いや~、計算どおりすぎて怖い。これなら竿を出す時間が取れそうです。

エサは近くのコンビニで買ったフライドチキン

「空港までお送りしますよ」

先方からお気遣いをいただきましたが、「非常にありがたいのですが、こんなご時勢ですから…」と曖昧かつ無難な、いわゆる〝大人な〟返答でかわします。

最寄りの首里駅までわざわざ見送りに来てくれた商談相手に「ありがとうございました~」と丁重に礼を述べつつ笑顔で手を振り、那覇空港行きの『ゆいレール』に乗り込みます。

さぁ、ココからはお楽しみタ~イム。あらかじめ目星を付けていた場所を目指すべく、牧志駅で途中下車します。

実は、牧志駅のすぐ下には安里川というドブ川が流れており、市街地ながらにさまざまな魚が釣れることで一部には知られたポイントです。

さっそくカバンから道具を取り出し、ハリとの間にオモリをひとつ通しただけのシンプルな仕掛けを結びます。狙いはチン(ミナミクロダイの地方名)、エサは近くのコンビニで買ったフライドチキンです。

これが気軽に手に入る特エサとして話題になっているらしく、チャレンジしてみることにします。まずはガブリと味見から。うむ、ウマイ。ビールも一緒に買うべきだった…。そんな後悔をしつつ、チキンを適当な大きさにちぎってハリに付け、適当に投げ込んでアタリを待ちます。

『ロウニンアジ』沖縄県那覇市/安里川産〜日本全国☆釣り行脚 
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

20分くらい待ったでしょうか、いきなり1本の竿先が激しく絞り込まれました。竿尻が浮き上がりそうな勢いに、慌てて竿を手に取ってヤリトリ開始です。予想以上の強引に「やっぱりチンは引くなぁ」などと糸を出しつつ応戦していると、体高のある白銀の魚影が水中にギラリと見えました。んが、相手も更なる抵抗をみせて再び底へと突っ込みます。う~ん、面白い!

何度かの突っ込みをかわして「エイヤッ!」と抜き上げた魚は…あらっチンではない? なんとロウニンアジの若魚でした。どうりでよく走るわけですな。

『ロウニンアジ』沖縄県那覇市/安里川産〜日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さすがアジ科! 泡盛とも合う♪

沖縄の河川ではポピュラーな存在ですが、小魚を盛んに追いかけるコイツまでをも狂わせるフライドチキンの威力…。恐るべし!

その後30分ほど竿を出してみたものの釣果は得られず、帰りの飛行機の時間もあって納竿しました。短時間の実釣ではありましたが、面白い体験ができて大満足。道具を持ってきておいてよかった~。

帰宅後はロウニンアジの刺身で一杯です。この手のヒラアジ系の刺身は、だいたいが旨いですからねぇ。

『ロウニンアジ』沖縄県那覇市/安里川産〜日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

ただ、ひとつお断りしておきたいことがございます。ここのように、塩分濃度が低い汽水域など淡水の影響がある場所にすむ魚は、本来は加熱調理を推奨します。可能性はそれほど高くないとはいえ、寄生虫のリスクは否定できませんからねぇ。

一切れ口にすると、トロッとした食感にアジ科らしい風味が口の中に広がります。臭みもなく旨い! 空港で、お土産に買った泡盛との相性も申し分ありません。

仕事ついでの釣りなのか、釣りついでの仕事なのかは分かりませんが、なかなかに楽しい時間をすごすことができた沖縄日帰り行でありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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