闇バイトはなぜ拡大したのか? 裏社会の専門家が明かす“トクリュウ”の実態

『闇バイトの歴史「名前のない犯罪」の系譜』太田出版 1,700円(本体価格)

『闇バイトの歴史「名前のない犯罪」の系譜』著者:藤原良
ふじわら・りょう:週刊・月刊誌や各種webでアウトロー分野の記事を多数執筆。マンガ原作も手がける。「万物斉同」の精神で取材・執筆にあたる。著書に『山口組対山口組』『三つの山口組』『M資金』(いずれも太田出版)、『菱の血判』(サイゾー)など。

「特殊犯型」と「財産犯型」の違い

──そもそもトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の始まりは?
藤原「2013年に登場したテレグラム。この匿名性の高いSNSを悪用して「正体を隠せる」という強みを手に入れた犯罪者集団がトクリュウです。その後は、テレグラムに限らず、後発の類似サービスであるシグナルなど、さまざまなネットサービスを悪用して無差別に犯罪を繰り返すようになりました。さらに、ネット上のやり取りを通じて闇バイトを募集し、犯罪実行役を次々と取り込んでいく。リモートで指示を出し、状況に応じて切り捨て入れ替える。その流動性の高さも、トクリュウの大きな特徴です」

──トクリュウには2種類あるそうですね。
藤原「『特殊犯型』は、詐欺や犯罪行為をできるだけネット上だけで完結させるタイプ。ロマンス詐欺や仮想通貨詐欺、パスワードの不正取得、AIを使った音声なりすましなどが代表例で、海外から仕掛けられるケースが目立ちます。一方の『財産犯型』は、ネットを入り口にしつつも現実の世界に出て、嘘をついて現金をだまし取ったり、強盗に及んだりする。こちらは日本国内で起きる犯罪が多いですね」

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被害に遭わないためには意識改革が必要

──闇バイトに応募してくる人間はどんなタイプが多いのですか?
藤原「いろいろな要素が絡み合っていますが、多いのは、『とにかく楽に短時間で大金を稼ぎたい』『働かずにお金を得たい』という思いが大きい人。自分がやっていることが犯罪だという認識がない人もいれば、認識があっても、この程度なら大した罪にはならないだろうなどと、安易に考える法的知識や理解力が乏しい人も少なくありません。そのうえでさらに借金苦などが原因になる人もいます」

──日本人はだまされやすいといいます。被害に遭わないためにはどうしたらいいのでしょうか?
藤原「目先の報酬に飛びつかず、『本当にそんな高額なバイトがあるのか』と一度立ち止まって調べてみることが大切です。もちろん、悪いのはトクリュウ側ですが、そうした相手にだまされないためには、日頃のちょっとした心掛けが役に立ちます。なにもかもがすべて『警察の仕事だ』と任せきりにするのではなく、自分の身は自分で守るという意識を持つことが第一歩です。仲間と情報を共有したり、防犯グッズを用意したりと、まずはできることから始めればいい。日常生活の中で防犯意識を高めていくことが、結果的にトクリュウ以外の犯罪を防ぐことにもつながっていきます」

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」2月26日号より