【國澤一誠のゾッとする実話怪談】第二夜 生放送に映り込んだ“死を予言する女”――新宿アルタ前で目撃された緑のワンピースの怪異

通り魔事件と一致した「死の予言」

手の動きで何を伝えたかったのか!?

母親は、あることに気づく。

「この人……ジャンケンしてるんちゃう?」

そう呟いた直後だった。

テレビから「ピピピピー」という無機質な警告音が鳴り、
ニュース速報のテロップが流れた。

『〇〇で通り魔事件が発生しました』

それは一度きりではなかった。
不思議なことに、女性が動いた直後には、通り魔事件の速報が流れることが何度もあった。

後になって振り返ると、
女性が出していたジャンケンの手は、事件の被害者数と一致しているように思えたという。

両手がグーの時は、事件は起きたが死者はいなかった。
だから、彼女は首を振っていたのではないか──。

母親は、そう考えるようになっていた。

母親が向かった、新宿アルタ前の現実

真相を確かめたい一心で、母親は家族に内緒で東京へ向かった。

新宿アルタ前。
若者たちの喧騒の中、その女性は確かに立っていたという。

下を向いたまま、緑色のワンピース姿で。

しかし、人波に一瞬視界を遮られた、その刹那。
女性の姿は、忽然と消えていた。

周囲を探しても、どこにもいない。
まるで、最初から存在しなかったかのように。

壊されたテレビと、残された謎

帰宅後、東京へ行ったことを知った父親は激怒した。

「もうええ加減にしろ!
いつまでそんな話をしとるんや!」

そう叫びながら、父親はテレビを叩き壊してしまった。

それ以来、先輩の家に“映るテレビ”はなくなった。

皮肉なことに、友人の家で見るテレビが楽しくて仕方なかった反動が、
彼をバラエティの世界、そして芸人の道へと突き動かしたのだった。

緑のワンピースの女は、何者だったのか

あの緑色のワンピースの女は、いったい何者だったのか。
なぜ、あの母親にだけ、惨劇の予兆を見せていたのか。
答えは今も、新宿アルタ前の喧騒の中に、消えたままである。

【著者プロフィール】

國澤 一誠(くにさわ いっせい)

怪談家。長年の怪談語りと綿密な取材活動を通じて構築された、膨大な怪談アーカイブを持つ。自らの実体験や徹底した現地取材に基づくリアリティ溢れる描写に定評があり、聞き手を引き込む語り口が支持されている。現在はYouTubeでの配信やトークイベントへの出演など、多方面で精力的に活動中。

〇YouTube:https://www.youtube.com/@kunisawa_issei/featured

〇X(旧Twitter):@kunisawaissei