郷ひろみ×井上大輔×売野雅勇…奇跡の噛み合わせが生んだ『2億4千万の瞳』という国民的ポップス

郷ひろみ『2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―』
【スージー鈴木の週刊歌謡実話第21回】郷ひろみ『2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―』作詞:売野雅勇/作曲:井上大輔、編曲:井上大輔 1984年2月25日発売

CMのコピーだった「エキゾチック・ジャパン」

言うまでもなく郷ひろみの代表曲にして、彼の最後の出演となった昨年末のNHK紅白歌合戦で歌われた曲です。リリースは、今から42年前の1984年。

もう一種のネタのようになってしまったので、特に若い読者の中で、この曲の詳細を知る人はかなり少ないことでしょう。

特にJRの前身=「国鉄」のCMソングだったことなんて、私自身も忘れていましたよ。そうそう「エキゾチック・ジャパン」は、CMのコピーだったのです。

あと、この曲が、当時の「ニューウェーブ」サウンドになっているということも忘れがち。

イントロのドラムスの音なんて、当時のロンドンから直輸入したような音だし、それに続く「♪ガガジャー・ガガジャー・ガガジャー・ッジャーン」という歪んだギターのカッティングも、実にニューウェーブ。具体的には、こちらもCMソングとして日本で流行った、ウルトラヴォックスというバンドの曲『ニュー・ヨーロピアンズ』(’80年)を感じさせます。

作曲は井上大輔。言わずと知れたブルー・コメッツ出身の元・井上忠夫ですが、この時期は、作曲家としてヒットを連発中。

ラッツ&スター『(め)組のひと』、葛城ユキ『ボヘミアン』(ともに’83年)、さらには『NAI・NAI16』(’82年)をはじめとするシブがき隊の一連のシングルで、作曲仕事のピーク期を迎えていました。

そんな井上大輔の作曲の持ち味をひとことで言えば「ロックと歌謡曲の融合」。

ニューウェーブだ、ロンドンだと、最新の洋楽ロックのエッセンスを取り入れながら、手触りはあくまでベタ。新しく、激しく、かつ適度に湿っぽく、日本の風土に寄り添った短調(マイナー)のロックンロールで一時代を築いたのでした。

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