「回転寿司はアミューズメントパーク」業界を30年見続けた評論家が語る回転寿司の魅力

「食べて美味しい、見て楽しい、感じて面白い」

回転寿司評論家・米川伸生
米川の視点は常に客視点だ。その店のおすすめがマグロやサーモンなど、“当たり前”を看板にする店は惹かれない。だが、同じネタでも、ちょっとした見せ方や工夫でお客さんを楽しませることはできる。

『回転寿司はアミューズメントパークである』

米川が30年間言い続けてきた揺るぎない思想だ。

「回転寿司のエンターテインメントって普通の人はマグロの解体ショーと考えるんだけど、僕の中では本当の解体ショーができる人は元『海鮮三崎港』にいた川股竜二ひとり。でもね、回転寿司におけるエンターテインメントの定義というのは、アミューズメントパークであること。つまり、『お客さんに喜んでもらうことをしよう』ってことなんです。例えば、マグロのレアな部位があったら、1000円で出すよりも、お客さん同士でセリをしてもらえば楽しいでしょう。函館で名物のホタテがあったら、釣りをしてもらって『釣れたら無料』になれば、やりたくなるでしょう。エンターテインメントの基本、食べて美味しい、見て楽しい、感じて面白いというものを求めてほしい。最初は地方の回転寿司をどうやってテレビに出そうか、それを考えるだけでも大変だった。でも、10年経てばちゃんとやってきた店は僕が居なくても全国放送で取り上げられるようになって、今も人気店として続いているからね」

今では回転寿司の番組や雑誌の特集には必ずと言っていいほど識者として顔を出し、テレビ東京系列『TVチャンピオン』の「回転寿司通選手権」で他を寄せ付けず圧勝したほど回転寿司の表も裏も知り尽くした男である。

全国を行脚して回転寿司の見聞を広めたその知識にあやかりたいと、これまで多くの経営者が米川の門を叩いた。やがて評判が評判を呼び、いつしか評論家の枠を飛び出し、コンサルタントとして引く手あまたとなった。誰もが知る全国チェーンの大手から地方の個人店まで、これまで回転寿司店を立て直してきた実績は数知れない。

「まぁ、僕の話って特殊じゃないですか。特に地方のトップを張っているような回転寿司経営者はアンテナの高い人が多いから、常識外であっても、目からウロコの新しい話が聞きたいんだよ。昔ってやっぱり情報を得ることは大変だったからね。でも今はネットがあるでしょ。ちょっと調べれば分かるんだから、もう僕がどうこうしなくたって大丈夫なんですよ。今は講演だとかそういう依頼があっても、『もう話せることは全部話し尽くした』と言って断っているんです。番組に呼ばれりゃキライじゃないから出るけどね(笑)」

米川はダハハと豪快に笑い寿司を喰らう。豪華絢爛で趣向が凝らされた北陸の名物を使った飾り寿司。驚くほど美味い。この金沢まいもん寿司も、今では全国20店舗以上を展開する超人気となったのも頷ける。

「この30年で、回転寿司は大きく変わりましたよ。バブルの時代なんか正義はカウンターの寿司だから、回転寿司に女の子を連れて行こうなんてしたら入り口で帰っちゃったからね。それでもね、僕は回転寿司が“プロレス”と同義だったあの時代が一番好きなんですよ」

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」1月22日号より