勤務中はネットサーフィン、昼休みは2時間仮眠! 市役所を蝕む「仕事をしない課長」の優雅な日課

元は「身を粉にして働く」と公言したエリート

17時15分:業務終了。
「終了と言っても窓口が閉まるだけで業務はまだ終わっていません。なのに課長は帰り支度を始めています」

17時30分:退勤
「一応定時になっているせいか『あとは宜しくね』の一言でいなくなってしまいます。残務整理に追われている他の職員は誰も返事をしません。先日は珍しく18時過ぎまで席に残っていたので珍しいなと思っていたら、ネットオークションのためでした。お目当ての品物が落札できるかどうかの瀬戸際だったのでパソコンの前から離れられなかったようです。職場のパソコンを私用に使っても咎められないのが不思議でなりません」

ちなみにこの課長、新卒で入庁した当時は「市民のために身を粉にして働く所存です」と公言し、市民の生活向上のために企画を立てたり、上司に提言するなど誰よりも精力的に働いていたそうだが、きちんと精査することもせず『前例がない』『予算がとれない』などを理由に日和見主義の当時の上司たちはことごとく却下。

これに心が折れてしまったのか、徐々に意欲を失って現在のようになってしまったらしい。

「能力よりも年功序列、革新よりも保守という、市役所の悪しき体質のせいですよね。決して無能なわけではないのに活躍の場を奪われてしまったことを思えば、課長が今のように無気力になってしまうのも無理はないのかなと思いますが、逆を言えば、仕事で成果を残せなくても勤続年数によっては管理職になれるという慣例的なもののお陰で課長になれているわけで、何とも皮肉な話です」

絵に描いたような「窓際族」の課長だが、席は窓際ではなく壁側だそう。

「あまりにも課長が仕事をしないので、職員のひとりが『壁の花じゃ困りますよ』と嫌味を言ったことがあるんですが、課長は『俺は花じゃなくて壁のシミみたいなもんだから』と返事をしていました。なんか空しいですよね」

数年後に定年を迎えるという課長。彼は自身の公務員生活を振り返って何を思うのだろうか。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)

1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。