「トクリュウ頂上作戦」壊滅に向けて警察が本格的な対策に

捜査員が仮装身分捜査

トクリュウは、シグナルなど匿名性の高いアプリを使っており、メンバーからスマホを押収しても首謀者にまで辿り着かないことが多い。そこで、新たに導入された捜査手法が、警察官が一般の若者を装って闇バイトに応募して潜入捜査を行う仮装身分捜査だ。

捜査員は、偽の免許証などを使って闇バイトに応募してグループに潜入。特殊詐欺や強盗などの発生を未然に防止するとともに、首謀者の割り出しなど組織の全容解明を目指す。

警察が仮装身分捜査を行っているとの噂が広まれば、トクリュウがSNSで闇バイトの募集をしにくくなるとの相乗効果も期待できる。

'25年5月には早くも警視庁の捜査員が仮装身分捜査で特殊詐欺の実行役に応募し、トクリュウのメンバー1人を詐欺未遂容疑で逮捕するなど実績を上げている。

「現在、検討が進んでいるのが、架空名義口座を使った新たな捜査手法です。警察の開設した架空口座をSNSで販売してトクリュウなどの犯罪グループに購入させ、特殊詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺などの被害金が入った瞬間に口座を凍結したり、被害金をあえて送金させて行方を追跡しグループの解明にもつなげたりする」(同)

トクリュウ捜査に詳しい関係者は「トクリュウはSNSや匿名性の高いアプリを駆使しているが、最近ではAIを使った新たな手口を生み出し、警察の捜査を免れようとする動きも出ている。

トクリュウは国際的な犯罪ネットワークの中で活動し始めており、警察はAIの専門家を雇い専門性を高めるとともに、諸外国の捜査機関と連携しながら、進化を続けていく必要がある」と指摘している。

山口組頂上作戦のように、トクリュウ頂上作戦は一定の成果を上げられるか。

「週刊実話」1月8・15日号より