「トクリュウ頂上作戦」壊滅に向けて警察が本格的な対策に

2024年に検挙したトクリュウは1万105人

「実行役に加え、バールなどの道具を手配する役や、被害金や被害品を運搬する役、クレジットカードを使う役など細かく役割が分担されていた」(捜査関係者)

トクリュウの資金獲得活動は、特殊詐欺や闇バイト強盗、窃盗、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、給付金詐欺、悪質ホストクラブ、悪質リフォーム、ネットバンキングの不正送金、覚醒剤の密売、飲食店からのみかじめ料、貸金業、風俗店経営、AVスカウト供給など多岐にわたる。

警察庁の調査によると、'24年にこうした資金獲得犯罪で警察が検挙したトクリュウは1万105人。罪種別では口座譲渡など犯罪収益移転防止法違反が3293人と最多で、次いで詐欺2655人、窃盗991人、薬物事犯917人、強盗348人、風営適正化違反292人となっている。

全国の都道府県警察はここ数年、トクリュウの実態解明を進めるとともに摘発に注力してきたが、'25年10月、警察庁がトクリュウ捜査や対策の司令塔となる「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」を新設、さらに警視庁も「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」を発足させた。

警察庁匿流情報分析室は、全国のトクリュウに関する情報を集約・分析し、グループの実態解明を進めるなど、トクリュウ対策の司令塔となる。

また、警視庁匿流対策本部は、トクリュウに関する情報を一元的に集約し分析、ターゲットを選定し順次摘発していく。

悪質ホストクラブやサイバー犯罪などトクリュウとの関連が疑われる事案についても広く情報収集・分析を行い、違法なビジネスモデルも壊滅に追い込む。

「捜査力強化のため、警視庁匿流対策本部は全国から約100人の捜査員を集めた新組織『匿流ターゲット取り締まりチーム(通称・T3)』を立ち上げた。さらに、警視庁の刑事部と組織犯罪対策部が統合されて“新刑事部”となり、トクリュウ事件を専門に捜査する『特別捜査課』も新設された」(全国紙記者)