トレンディエンジェルが明かすM-1優勝秘話と「韓国進出」の全貌

「漫才の向こう側に達すると、客が止まって見える」

──当時と比べて、トレンディエンジェルとしてはどう変わりましたか?

トレンディエンジェル(C)週刊実話Web
斎藤 そうですね、最近は空間も操れるようになってきました。

──どういうことですか!?
斎藤 例えば、お笑いのリズムって、ボケのリズムに「なんでやねん」とか、ツッコむリズムがあるじゃないですか。僕はこれをジャズのリズムに変えることで、ボケのクオリティーが低くても合わせることができるんです。

──それは新しいっぽい!
斎藤 難しい技術なんですが、これでリズムを崩して、お客さんがこのタイミングで来るだろうという予測を裏切るんです。間を変えることで、なかったことにするというか。僕は今、その域にまで達したんです。セニョール斎藤のコントをテンポよくやってたときに、突然黙るというテクニックも身につけました。その間を逆に笑いに変えるという。

たかし これが漫才の向こう側です。漫才の向こう側に達すると、客が止まって見えるといいます…。

斎藤 それ、笑ってねえだけだろ!

──たかしさんは斎藤さんの能力の発動が分かるんですか?
たかし(C)週刊実話Web
たかし 分かりますね。これは空間を支配しようとしているな、と。

──空間を支配するなんて、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のラストバトルみたいです(笑)。もはや達人の域で、コンビ結成20年目にしてたどり着いた境地なんですね。
たかし 傍から見たら、すごい漫才下手なヤツが大ウケしてるように見えるかも。

斎藤 毎回支配できるとは限らないけど、たかしと一緒ならいつでも笑いが取れますよ。

──今後の活動予定は?
たかし 実は韓国デビューの計画もあるんです。

──えっ!?
斎藤 吉村崇さん(平成ノブシコブシ)が日韓お笑いライブをやられてて。スケジュールが合わなくて2人では行けなかったんですが、「1人でもやってみたい」と無理を言って、先日、韓国に行ったんですよ。そしたらこれがウケて、芸人1年目のとき、初めてウケたときの興奮をもう一度感じられたことがうれしくて。

たかし 自分のことを知らない人を笑わせるという感覚ですね。

──どんなネタを披露されたんですか?
斎藤 たかしが考えてくれたイカゲームにハゲネタを組み合わせた「ハゲゲーム」のコントなんですけど、友達の韓国人から教えてもらった韓国語のセリフを必死に覚えて。小さな小屋だったんですが、お客さんのノリがとにかく良かったんです。いかに僕たちが劣悪な環境でやっていたか、身に染みましたよ。

──かなりの手応えがあったんですね。
斎藤 手応えというよりも、楽しかったんです。本当は怖かったんですよ。1人でやるって決めたけど、MCの吉村さんから「ネタを作るの大変だろうから、サブMCみたいなのでもいいよ」って言われたときに、ちょっと揺らいだんです。でも、ここで逃げたらダメだと。

──じゃあ次はトレンディエンジェルで!
斎藤 日本でやっているスタイルが、絶対に韓国でもウケると思うんです。今回、一番の目的は“セルフノリツッコミ”を試すことだったんですが、これがウケた瞬間に「あ、もう絶対いけるわ」と確信しました。

たかし 韓国語の本だけは買いましたよ。

──実現する可能性は高そうですね!
斎藤 来年はやりますよ!純粋な笑いを求めて、本当のエンターテインメントはなんだろうって振り返ったときに、ここなのかなって。次は世界のお笑いですよ。

企画・撮影/丸山剛史、取材・文/左文字右京

「週刊実話」1月1日号より

トレンディエンジェル

2005年4月にコンビ結成。ハゲネタを絡めたコントや漫才に定評があり’15年の『M-1グランプリ』では見事に優勝。現在はテレビだけでなく、公式YouTubeチャンネル『トレンディエンジェルのようつべ』などでも活躍中。