ランサムウェア巧妙化の闇 被害件数が過去最多に

27ギガのデータを盗み取ったと主張

取引先の飲食店やバーなどでは、他社のビールでしのぐなどの対応に追われ、アサヒGHDと共同で配送している同業他社のビールの出荷にも遅れが出ている。

コンビニでは、人気商品のアサヒスーパードライ、三ツ矢サイダー、カルピスなどが品薄になったほか、お歳暮商戦の百貨店では、アサヒGHD関連のビールや飲料の注文受け付け中止が相次いだ。

アサヒGHDへのサイバー攻撃では、システム障害発生から1週間後、ロシアに拠点があるとみられる「Qilin(キーリン)」と名乗るハッカーグループがダークウェブ上に犯行声明を出した。

9300以上のファイル(27ギガバイト)のデータを盗み取ったと主張し、サンプルとして財務に関する内部情報や従業員の個人情報を公開した。

キーリンは2022年ごろから活動を開始し、世界中でサイバー攻撃を行っている。日本の別企業がターゲットになったこともある。

アサヒGHDの事案が発生してから3週間後、LINEヤフーの子会社で事務用品大手のアスクルがターゲットになった。アスクルは10月19日、ランサムウェアによるシステム障害が起き、受注・出荷業務を停止したことを明らかにした。