【現役ドラフト2025】2巡目ゼロの大異常と“実質トレード化”が深刻化…「もはや制度崩壊」の声も

理念を奪う“実質トレード化”の進行

今年、2巡目ゼロと並んで問題視されたのが現役ドラフトの“トレード化”だ。移籍した12名の中には、明らかに“交換条件”を思わせる組み合わせが複数あった。

・巨人(菊地大稀)⇔日本ハム(松浦慶斗)

・オリックス(茶野篤政)⇔西武(平沼翔太)

・中日 (濱将乃介)⇔ DeNA(知野直人)

これらの組み合わせは偶然とは考えにくく、球団同士が「出すならこのレベル」という暗黙の合意を形成したケースが複数あったことが関係者の証言から浮かび上がっている。若手救済が理念だったはずの制度が、今や“球団都合の交換市場”へと変質しつつあるというわけだ。

トレード化が進む理由には、「守りたい選手を名簿に載せない運用の定着」「交換形式のほうが球団が説明しやすい」「現役ドラフトを“市場”とみなす発想の浸透」「リスクを最小化できるメリット」など、球団側の合理的判断が存在している。

制度が動きやすくなるほど、逆に球団は安全策へと引きこもる。これが2025年の実態だ。

移籍12名は“即戦力補充ドラフト”に

結果として移籍した12名の顔ぶれを見ると、若手の再生ではなく、即戦力の補充が目的化していることが明らかだ。

巨人←松浦慶斗(左腕素材の再生狙い)
日本ハム←菊地大稀(奪三振力)
オリックス←平沼翔太(巧打・選球眼)
西武←茶野篤政(叩き上げの外野)
DeNA←濱将乃介(機動力)
中日←知野直人(ユーティリティ)
阪神←濱田太貴(右の長打力)
ロッテ←井上広大(長打不足の補填)
楽天←佐藤直樹(外野のレギュラー候補)
ヤクルト←大道温貴(中継ぎ強化)
ソフトバンク←中村稔弥(左の便利枠)

制度導入当初に掲げられていた“若手救済”の理念は、もはやほとんど消えている。