中国の対日経済制裁に迎撃 高市首相「内需拡大策」発動

高市早苗 (C)週刊実話Web
中国による“対日経済制裁”は厳しさを増している。高市首相が国会で答弁した台湾有事を巡る「存立危機事態」に中国側が猛反発しているわけだが、高支持率を背景にした高市政権は物価高対策を含めた内需拡大に舵を切り、活路を見い出そうとしていた――。(全2回中の第2回。第1回を読む

『鬼滅の刃』中国公開の影響は…

中国は日本の水産物の輸入を事実上停止する措置にも踏み切っている。

もともと、中国は東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出に絡んで水産物の輸入を停止しており、今年5月にようやく再開することで日本側と合意していたが、白紙撤回した格好だ。

映画の公開にも影響が出ている。アニメ『クレヨンしんちゃん』や『はたらく細胞』の2作品の公開が延期されたほか、アニメ『鬼滅の刃』は入場者数が急落しているという。

中国国内で開催される予定だった日本関連のイベントが20件以上、キャンセルになっている。吉本興業は11月20日から22日に予定されていた上海での『よしもとコメディスペシャル』全4公演の中止を発表。フォークデュオ『ゆず』は香港、上海、台湾・台北でのツアー中止に追い込まれた。

「吉本が予定していたのは、上海で開催中の『第11回上海コメディフェスティバル』内での公演でした。間寛平や陣内智則などの人気お笑い芸人や吉本新喜劇が登場する国際的文化交流でした」(スポーツ紙記者)

吉本興業は同フェスティバルに2019年から参加しており、今年は実現すれば4回目だった。そもそも、中国が対立する国を対象に経済的な圧力をかけるのは常套手段だ。

2010年に尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船と中国漁船が衝突した事件の際や’12年に日本政府が尖閣諸島を国有化した際には、中国は日本へのレアアースなどの輸出を事実上規制。

’16年、モンゴルがチベット仏教ダライ・ラマ14世の訪問を受けた後にはモンゴルからの石炭などの輸入を規制したほか、作家で民主化運動を展開していた劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した際には、ノルウェーとの交流をほぼ停止しサケの輸入を中止している。

高市首相のよる「内需拡大策」

「問題解決の糸口は全く見えておらず、今後、さらに経済的な圧力が強まる可能性が濃厚。日本経済、そして国民生活への悪影響が懸念されるが、政財界で『内需拡大策を準備しておく必要があるのではないか』との声が上がり始めています」(経済担当記者)

経済制裁で輸出入が減少すると、その分を国内で補うことになり、内需が拡大するという相関関係があるが、これを国策として実施し、景気高揚にもつなげてしまおうという大胆な案だ。

政府が、今回の中国問題を機に、内需拡大への協力、つまり日本製品や食品などを購入するよう国民に呼び掛けたうえで、責任ある積極財政、金融緩和の維持などを展開していく。そして、企業もこうした動きに呼応し、賃上げをさらに推進するという役割を果たすことになる。

「具体的には、まずは政府が輸入停止の影響をもろに受けているホタテやアワビ、ナマコを率先して購入したり、意識して旅行の回数を増やしたり、といった対応をするよう国民に協力を求める。国民の理解も一定程度得られるに違いない。もちろん、水産事業者や旅行事業者も中国以外の国に活路を見出すよう、自主努力をする必要がある。あとは、中国の動きを見ながら、内需拡大策の枠を広げればいい」(政界関係者)
 
11月21日、高市首相は21.3兆円規模の総合経済対策を閣議決定した。

同日、首相は「日本が今行うべきことは、行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させることではなく、積極財政により国力を強くすることだ」と記者団に語った。

物価高の対応としては、
●電気・ガス代の計7000円補助(’26年1~3月)
●自治体の支援金を拡充し、「おこめ券」や電子クーポン券の配布を促す
●18歳以下の子供1人当たり2万円給付
などだ。

この難局を乗り切るため、今こそ国民は一致団結すべきである。中国の経済的圧力があっても日本経済が揺るぎのないという状況を作り出すことができれば、日中は対等な立場で問題解決の協議に臨めるはずだ。

「週刊実話」12月18・25日号より