“高市発言”で中国人観光客が激減 観光産業から悲鳴「このままでは売り上げが立たない」

高市早苗 (C)週刊実話Web
中国による“対日経済制裁”は厳しさを増している。高市首相が国会で答弁した台湾有事を巡る「存立危機事態」に中国側が猛反発しているわけだが、高支持率を背景にした高市政権は物価高対策を含めた内需拡大に舵を切り、活路を見い出そうとしていた――。(全2回中の第1回)

高市発言で中国が事実上の経済制裁

高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に中国が猛反発、観光客の渡航自粛や水産物輸入停止など日本への経済的な圧力を強めている。

中国人がもたらすインバウンド需要は、日本経済を下支えするレベルに拡大しており、事実上の経済制裁がもたらす影響は計り知れない。

日中両国の歩み寄りが困難な中、失った中国人需要を日本国民が埋め合わせる政財界と国民が一体となった内需拡大案が浮上している。

中国が問題視している高市首相の発言は、11月7日の衆院予算委員会で集団的自衛権行使を巡る「存立危機事態」に関するやり取りで飛び出した。

立憲民主党の岡田克也元幹事長が高市首相に存立危機事態に関する考えを問い質したところ、高市首相は「有事にはいろんな形がある。例えば台湾を完全に中国・北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。(中略)やはり戦艦を使って武力行使を伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と、台湾有事の際に自衛隊が出動する可能性を示唆した。

高市首相の発言に対し、中国は激しく反発。11月8日夜、中国の薛剣・駐大阪総領事はXに『勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか』と投稿。

さらに翌9日にも『“台湾有事は日本有事”は日本の一部の頭の悪い政治屋が選ぼうとする死の道だ。(中略)敗戦国として果たすべき承服義務を反故にし、国連憲章の旧敵国条項を完全忘却した余りにも無謀過ぎる試みだ。くれぐれも最低限の理性と遵法精神を取り戻して理性的に台湾問題を考え、敗戦のような民族的潰滅を喰らうことが二度とないようにしてほしい』と投稿した。

外務省や在中国大使館は即座に、中国側に対して極めて不適切な発言であると強く抗議し、投稿の削除などの対応を取るよう求めた。

中国側は記者会見において「国会で台湾海峡に武力介入する可能性を暗示し、中国内政に干渉した。中国政府は日本側に抗議した」としたが、薛剣氏の発言については「SNS上の個人の言論にはコメントしない」と言及を避けた。

劉勁松アジア局長の対応も物議

11月18日には、外務省の金井正彰アジア大洋州局長と中国外務省の劉勁松アジア局長が北京で協議。

この際、劉局長が両手をポケットに突っ込み、金井局長が頭を下げているように見える動画を中国中央テレビが放送し、SNS上で拡散。日本人の間では「中国が日本より優位にあることをアピールする思惑ではないか」「ケンカを売っているのか」とした批判が相次いだ。

中国は中国国民に対し、当面の間、日本への渡航を控えるよう呼び掛けたほか、日本にいる中国国民に対して「治安の情勢に細心の注意を払い、自己防衛を強化するように」とのメッセージを発した。

こうした中国政府の動きに呼応するように、約150万件あった日本への旅行の予約が約100万件に急減。中国政府が旅行会社や企業に圧力をかけている、との情報もある。

日本政府観光局(JNTO)の調査によると、今年1~8月に旅行や仕事などで来日した中国人は、前年の1.5倍の670万人に上っている。前年1位の韓国を抜きトップになるなど、好調が続いていた。

今回の中国政府による自粛呼び掛けで来日する中国人がさらに減れば、日本の観光産業などインバウンド需要に期待していた業種にとって大きな痛手になる。

「11月8日以降から中国人団体客による屋形船のキャンセルが相次ぎました。11月22日からの今年最後の3連休は寂しいものでしたよ。中国人団体客の今後の予約は入らないし、先行きも不透明なまま。昔はよく利用されていた会社の接待や忘年会なども、今は激減しており、このままでは売り上げが立ちませんよ」(屋形船スタッフ)

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「週刊実話」12月18・25日号より