難読漢字よもやま話】「鯑」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「かずのこ」

【鯑の語源と漢字の由来】
「鯑(かずのこ)」は、ニシン(鯡)の卵を塩漬けや乾燥させたもので、日本の正月料理のおせちには欠かせない食材です。

漢字の「鯑」は、「魚へん」に「希(き)」が組み合わさった形声文字ですが、この漢字一文字で「かずのこ」を意味します。「希」の字は、「乾かす」という意味の「晞」の省略形であるという説があり、ニシンの卵を乾燥させていたことに由来すると言われています。

また、「鯑(かずのこ)」は、近年「数の子」と書きくことが一般的となっていますが、語源は表記が示す通り、ニシンの卵が非常に多くの粒が集まってできていることから、「数(かず)の子(こ)」と呼ばれるようになったとみられています。
おせちの定番!

【子孫繁栄の味! 鯑のトリビア】
●縁起物としての意味
鯑は、卵の粒が非常に多いことから、「子宝に恵まれるように」「子孫が繁栄しますように」という願いを込めて、おせち料理の祝い肴(いわいざかな)三種の一つとされています。

●魚卵の種類
日本の食文化には、鯑のほかにタラコ、イクラ、キャビアなど多くの魚卵がありますが、親魚の卵巣全体を塊のまま加工して食べるのは、数の子の大きな特徴です。

●ニシンの激減
鯑の原料であるニシンは、かつて「ニシン御殿」が建つほど北海道で大量に獲れましたが、乱獲や環境変化により激減。現在、日本で流通する鯑の多くはカナダやアラスカ*のニシン卵が使われています。

●「黄色いダイヤ」
かつてニシン漁が盛んだった頃、鯑は非常に高価で貴重な輸出品であったため、「黄色いダイヤ」とも呼ばれていました。これはニシンの卵の色に由来します。

●独特の食感の秘密
鯑の「プチプチ」とした独特の食感は、細胞膜が非常に厚く、加熱や塩漬けによっても膜が破れにくいという、ニシンの卵特有の構造に由来します。

●塩抜きが重要
塩漬けされた鯑は、そのままでは塩分が強すぎるため、食べる前に数時間かけて丁寧に塩抜きをする必要があります。塩抜きが不十分だと、食感や味が損なわれます。
また、日本では主に醤油ベースの出汁に漬けて食べますが、世界的にはあまり一般的な食材ではなく、日本の独特な食文化の一つと言えます。

●栄養価
鯑は魚卵であるため、たんぱく質が豊富で、さらにDHAやEPAといった不飽和脂肪酸も多く含まれており、健康にも良い食材です。