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『フルーツポンチ村上健志の俳句修行』著者:村上健志~話題の1冊☆著者インタビュー

『フルーツポンチ村上健志の俳句修行』著者:村上健志~話題の1冊☆著者インタビュー
『フルーツポンチ村上健志の俳句修行』 春陽堂書店/1980円 

『フルーツポンチ村上健志の俳句修行』 春陽堂書店/1980円

村上健志(むらかみ・けんじ)
1980年生まれ。茨城県牛久市出身。吉本興業所属のお笑い芸人。東京NSC10期生で同期の亘健太郎と2004年に結成したコンビ『フルーツポンチ』として活動中。現在、MBS『プレバト!』不定期出演中。

――そもそも俳句を始めたきっかけはなんだったのですか?

村上 『プレバト!!』に出ることになり、初めて俳句を作りました。ただその前に短歌をやっていました。本屋で何となく手に取った歌集『サラダ記念日』がきっかけです。難しくてよく分からないと思っていた短歌でしたが、そこから「自分にもできるかも、自分には必ずできる」という大いなる勘違いが、始まりでした。

――自身の句が2021年度版の中学3年生向け教科書に収録されたそうですね。

村上 『プレバト!!』の収録の時に初めて知り、とても驚きました。夏目漱石や芥川龍之介が名を連ねる、あの〝教科書〟ですよ! もちろん夏井先生のコラム内の添削例としてですが、それでも教科書に載ったという反響はとても大きく、うれしかったですね。宣材写真を笑っている顔ではなく頬杖をついた白黒の写真に変えようかな、とまで思いました(笑)。

学生時代、音楽の教科書に歌ったことのあるJ-POPの曲を見つけたときの、何だかフフンとうれしくなったことを思い出します。お勉強のための教科書に親近感を覚えました。一芸人の僕の俳句が載っていることで、学生の皆様の中にもそんな気持ちを抱く方がいたら、とてもうれしいですね。芸人が俳句を作っているんだから自分にもできそう、やってみたいと思ってくれたら最高です。

自分以外の人にも光景を浮かび上がらせるのが大事

――俳句を作るコツなどはあるのでしょうか?

村上 僕も俳句を考えるたびに、どうやって作るんだっけと頭の中が真っ白になります。それでも分かったことは、俳句は物語というよりも映像的だということ。さらに音や匂い、感触などを、五・七・五を使って自分以外の人にも光景を浮かび上がらせるのが大事。スラムダンクの中で脱げたボロボロの体育館シューズだけが描かれた一コマに、やけに感動するみたいな感じでしょうか。

ちなみに僕が俳句を作るときはテーマがあったらとにかく連想をしていって「おー」となる言葉を見つけて、それを種に考えていくことが多いです。例えば学校に何があったかなという会話の中で、黒板や教室では「あったー」とはならないと思います。そこからさらに連想していって「学校指定の駐輪シール」「〇〇年度卒寄贈の記念樹」などが思い浮かぶと「あったねー!」となるかもしれません。そんな連想を働かせながら俳句を作っています。

――最後に読者に向けて一句お願いします。

村上 〝冷房の効かぬ蕎麦屋の古雑誌〟。いかがでしょうか?

(聞き手/程原ケン)