日本のシャインマスカットが危機! 海外流出で損失は年間100億円以上か

画像はAIで生成したイメージ
“ブドウの王様”と呼ばれた「巨峰」に代わり、栽培面積でトップに立った「シャインマスカット」がピンチだ。海外に種苗が流出し、中国産、韓国産などの安価なものが国内外に流通しているのだ。

シャインマスカットは『国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構』(農研機構)が33年間かけて生み出した日本発祥のブドウで、山梨、長野、岡山、山形などが主な産地になっている。

「シャインマスカットは強い甘さが特徴の白系ブドウで、種がなく皮ごと食べられる。2006年に品種登録し、翌'07年の栽培面積はわずか2ヘクタールだった。
それが'22年には約2673ヘクタールと1300倍以上の急拡大。栽培面積でトップだった巨峰を抜いて1位に立つなど生産は年々拡大した。
ところが、農研機構で開発されたシャインマスカットの種苗が無断で中国や韓国に持ち出され、現地で栽培されて安い値段で売られている。日本産と偽装された被害も起きています」(流通ジャーナリスト)

シャインマスカットが中国で栽培、販売されているという情報を農研機構が掴んだのは'16年ごろ。

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流出ルートと「種苗法」の壁

「'07年に流出したとみられるルートの一つとして考えられるのが、自家栽培したシャインマスカットの苗を日本人ブローカーが農家から購入して中国人に販売したケース。
これは植物の知的財産の保護などを取り決める種苗法で違法行為になる。ホームセンターなどで販売された苗木が海外に持ち出された例も多かった。
ただ正規に販売されたものであれば、当時は海外に持ち出しても違法ではなかった。問題は現地で品種登録をしていたか否かです」(JA全農関係者)

見た目で日本産と外国産の区別はつかなくとも、価格差は歴然だ。日本産は1パック当たり2000円と高めだが、中国産は1パック500円以下の安さで売られているのだ。

「農林水産省の試算では、日本の損失は年間100億円以上とみられています」(前出・流通ジャーナリスト)農水省は毅然と“マスカット”してほしい。「週刊実話」11月27日号より