スルメイカ豊漁が一転、漁獲枠超過で初の「停止命令」 函館など漁業関係者に困惑広がる

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近年、不漁続きのスルメイカが、黒潮大蛇行の終息の影響で豊漁だ。 “イカの街”北海道函館市は突然、戻って来たスルメイカの豊漁に沸いていたが、水産庁から全国の小型イカ釣り船によるスルメイカ漁の停止命令を受け困惑が広がっている。

「スルメイカの急激な減少は潮の流れに加えて、北朝鮮や中国船の違法操業によるもの。函館市も10年前から不漁で、イカの活き作りを売りにしていた朝市は悲鳴を上げていた。その一方でブリが大量に取れ出したんです」(漁業ライター)

函館では2010年代からブリが取れ始め、昨年の水揚げは2800トンにも達している。 

「ブリは地元ではほとんど食べませんでしたから最初は困惑しましたが、スルメイカに代わる新名物として商品開発が行われたんです」(同)

函館の朝市にブリラーメン出店や、ブリハンバーガーの考案、学校給食、料理教室など消費拡大に力を入れてきた。ところが…。

「函館市の卸売市場で4月から9月までに扱ったブリは約579トンで昨年同期の半分以下。黒潮大蛇行終息の影響とみられています」(フリーライター)

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漁獲枠の大幅超過で異例の停止命令へ

6月に解禁された函館近海のスルメイカ漁は当初こそ不漁だったが、その後、漁獲が上向いた。

水産庁は小型船の'25年度全国漁獲量を4900トン(前年7700トン)としていたが、全国各地でもスルメイカ漁は好調で、10月24日の時点で5896トンと漁獲量枠を超えてしまったのだ。

「水産庁は10月31日、小型船のイカ釣り漁を3月末まで停止する命令を出した。北海道いか釣漁業協会は22日から、スルメイカ漁の休漁を決定済みです」(前出・漁業ライター)

この休止措置に対し、漁期を約5カ月も残して休業状態に追い込まれる漁業者はたまったものではない。

「函館で水揚げされるスルメイカは以前と比べると、まだ6割です。スルメイカの密漁が横行するかもしれませんよ」(テレビ関係者)

鈴木憲和農水相は漁獲枠拡大を検討するというが…。

「週刊実話」11月20日号より