いじめられっ子から人気クリエイターへ TikTok35万フォロワー・阿部洋佑が歩んだ波瀾万丈の人生と「ホラーへの恩返し」

「お笑いのセンスだけが武器」究極のサバイバル旅が始まった

稚内から波照間島まで、徒歩で日本を縦断する。初期資金はわずか2万円。アルバイトは禁止。収入源は、路上でお笑いのネタやパフォーマンスを披露し、それを見た人からいただく「気持ち」のお金のみ。

ライブ配信サービスのツイキャスで旅の様子を配信しながら、阿部は究極のサバイバル旅に挑んでいく。

阿部洋佑
路上パフォーマンスの収入は不安定だった。所持金が数百円しかない日々が続く。風呂に入るお金もなく、公衆トイレの水を飲んでしのいだ。ひたすら続く峠道や山道は、肉体的に最も厳しい試練だった。

何より辛かったのは、芸人としてのプライドだ。「ウケない時にお金をもらうこと」は、心苦しく、屈辱的ですらあった。広島県では心霊体験にも遭遇し、精神的に追い詰められた。 

「お帰り」孤独な旅を支えた、人々の温かさ

だが、この過酷な旅には温かい思い出も刻まれている。

ツイキャスの配信を見て駆けつけてくれるリスナーが時折現れた。差し入れの「おにぎり」は、何よりも嬉しいごちそうに。旅の途中でボランティア活動に参加し、施設の方々とダーツをして交流したことは、お金では得られない豊かさを感じさせてくれた。

一度お世話になった場所に再訪した時、施設の方などに「お帰り」と声をかけられた。孤独な旅の中で「居場所」を感じる瞬間だった。

この2年間に及ぶ放浪旅は、単なる過酷な体験ではない。ツイキャスで毎日配信を続けた経験は、その後の配信アプリでの成功、そして現在のTikTok活動の礎となる。

極限状態でしか得られない「人々の温かさ」と「生きる厳しさ」の両方を学び、彼の人間性に深みを与えた。