テレビ界が苦境に立たされるコストカットの恐怖 救うのは怪奇・心霊モノか

AIで生成したイメージ
テレビ界が悲鳴を上げている。番組を作りたくても、資金を捻出できないのだ。

「トランプ関税の効果が、ジワジワとナショナルクライアントに響いてきたようです。中でも打撃を受けているのが自動車業界。広告出稿が最盛期の3分の1にまで激減している」(大手広告代理店プロデューサー)

テレビ局がゴールデン帯の1時間枠に5000万円もの制作費を投じていたのは遥か昔の話。今や民放キー局のバラエティーの制作費はGP帯で1本あたり500~1200万円が相場。深夜帯ともなれば30万円を切ってしまうという。

「照明やスタジオ、人件費すら削られ、編集は外注に丸投げ。ヘタをしたら、人気YouTubeの制作費にも負けている番組もある」(制作会社関係者)

そんな惨状の中、思わぬ“救世主”が注目を集めている。全くもって季節外れなのだが“怪奇・心霊”をテーマにした番組を各局はこぞって制作しているのだ。

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安易な怪談に頼るのは苦肉の策!?

「お化け屋敷でも事故物件でも霊体験でもいい。とにかく安く作れるわけです。セットもCGも要らず、トークだけで成立する。基本、日本人は『怖い話』が大好き。季節性は関係なくなったんです」(放送作家)

また、『怪奇・心霊』番組は、SNSにおいても拡散されやすい。しかも、配信プラットフォームとの相性が抜群なのだ。

「HuluやNetflixでは“心霊ドキュメント”系の再生数が伸びています。地上波で放送した素材を編集し直して配信すれば、2次利用できる。コスパ最強のコンテンツですよ」(前出・制作会社関係者)

実際、『口を揃えた怖い話』(TBS系)や『コワいヤツらと往く』(日本テレビ系)など、心霊・怪談モノはここ数年で急増している。

もっとも、こうした安易な番組作りに対し 良識ある某キー局のテレビマンは警鐘を鳴らす。

「その裏に漂うのは、業界全体の疲弊と諦めの空気です。企画なき安易な怪談に頼るのは苦肉の策。恐怖で視聴者をつなぎ止めるしかないんです。
しかし目の肥えた視聴者はいずれ飽きる。そのときが本当の意味で“テレビの終わり”になってしまう。ドラッグにハマる中毒者と同じ構図です」

身の毛もよだつ未来。

「週刊実話」11月6日号より