『なんてったってアイドル』は小泉今日子がアイドルから「キョンキョン」に生まれ変わった歴史的1曲

小泉今日子『なんてったってアイドル』
【スージー鈴木の週刊歌謡実話第11回】
小泉今日子『なんてったってアイドル』作詞:秋元康、作曲:筒美京平、編曲:鷺巣詩郎、1985年11月21日発売

なぜ小泉今日子だけ未だに最前線に立ち続けていられるのか

先日、CS放送で『少女に何が起ったか』というドラマの最終回を見ました。

ちょうど40年前の1985年の1~3月にTBS系で放送されたもので、制作は、フィルムのザラッとした画質や、とにかく大仰な演技、奇想天外な展開で珍重された大映テレビ。

主演を張る小泉今日子に驚いたのです。まぁ、なんともチャーミングなのですが、加えて、なんとも野暮ったく垢抜けない(大映テレビ特有の演出の影響も大きいでしょうが)。

80年代後半以降、野暮ったさ・垢抜けなさの対極を行く、キレッキレのセンスで生き残っていく彼女ですが、’85年段階では、まだまだ、そんな感じだったということです。

では、転換点はどこだったのか? という問いに対して、今回のこの曲を持ち出すことに、異論は少ないでしょう。’85年11月発売の『なんてったってアイドル』。

作詞は、こちらもキレッキレの「1985年の秋元康」。「キレッキレ秋元」が「キレッキレ小泉」へのキッカケを作ったということになります。

「♪スキャンダルならノーサンキュー」「♪清く正しく美しく」―小泉今日子というアイドルが、「アイドル」という概念をパロディー化して蹴っ飛ばす歌詞。この1曲によって、小泉今日子は「アイドル」の殻を破り、キレッキレのセンス一発でのし上がる「キョンキョン」という唯一無二の存在になる。

そしてこの曲以降、昭和的意味合いでのアイドルというジャンルが徐々に衰退していく。まさに歴史的1曲!

それにしても、当時のアイドルの中で、なぜ小泉今日子だけが未だに最前線に立ち続けていられるのか。

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