長野久義ついに引退か 巨人を愛し、巨人に翻弄された男の決断は…

読売ジャイアンツ公式サイトより
143試合のペナントレースが終了し、戦力外通告の時期を迎えた野球界。今年も往年の名選手から惜しい若手まで、様々な選手がチームを去ることが発表されている。

ファンの反応も悲喜こもごもだが、とりわけ注目されているのが、巨人・長野久義の去就だ。

長野といえば2011年に首位打者、2012年には最多安打を獲得し、2012~14年の巨人V3を支えた右の巧打者だ。

だが40歳を迎えた今季は17試合の出場にとどまり、代打を中心にわずか3安打。0本塁打0打点に終わった。

「FAの人的補償で広島に移籍した2019年以降、長野のスタメンでの起用機会は激減。巨人復帰以降は代打ですら結果を残せないシーズンが続いた。今年12月で41歳という年齢的にも現役続行は現実的ではありません」(野球ライター)

巨人ファンの間でも、シーズン中から長野の戦力外は確実視されていた。しかし、先日発表された巨人の戦力外一覧に長野の名前はなく、疑問が渦巻いている。

だが一方で、長野はすでに引退を決めており、戦力外に名前がなかったのはそのためだともいう。

「チームは優勝こそ逃したが、3位でCS進出。わずかな望みにかけて日本シリーズ進出を目指す中、自身の進退を表明することで予断を与えてはいけないと、チームへの思いから引退発表を遅らせているのでは」(某球団OB)

これは、広島行きを経験してなお長野が抱く“ジャイアンツ愛”の表れだという。

【関連】鈴木誠也の大復活で巨人に暗雲 補強計画失敗で来季も貧打確定か

長野の“巨人愛”に漬け込む球団側の思惑

「長野は入団前からジャイアンツ愛を貫き、2006年に日本ハム、2008年にロッテからのドラフト指名を2度も拒否。2009年にようやく巨人から指名を受け、25歳にして念願の巨人入りを果たした」(前出・ライター)

そんなチーム愛あふれる長野に対して、引退試合を用意しないのは非情な扱いにも思えるが…。

「広島に放出されている時点で、球団からの長野の扱いはあまりよくない。そもそも、巨人は“巨人一筋”を貫いたレジェンドでないと扱いは冷たいですから」(前出・OB)

ただ、球団も鬼ではない。一見冷たく見えるが、“華やかな演出”も用意するという。

「長野は2009年のドラフト直後、ファンフェスタで初めてファンの前でユニフォーム姿を披露した。引退もまた、11月のファンフェスタでセレモニーを行って送り出すのかもしれない。
公式戦でないと“現役最後の打席”は演出できませんが、内輪イベントだとより盛大な演出もできますし、ファンにとっても悪い話ではない。
なんといっても、巨人としては放出や引退試合がないことの非情さを隠し、最後は美談に仕立てたい思惑があるはずです」(前出・ライター)

実際、引退試合を行わず、翌シーズンの開幕戦やオフのファン感謝祭でセレモニーを行うケースは珍しくない。

近年の巨人主力では、高橋由伸もこのケースだった。さらに長野でいえば、「ファン感謝デーに始まり、ファン感謝デーに終わる」という引退は球団にとっても好都合だろう。

黄金期を支えた主力の引退試合ナシは物悲しくも感じるが、巨人を愛し、巨人に翻弄された男はどんな最後を迎えるのだろうか。