角界のニュースター安青錦の強靭なハングリー精神 九州場所での大関取りに注目集まる

安治川部屋Xより
9月28日に横綱大の里の優勝で幕を閉じた大相撲秋場所(東京・両国国技館)は大盛況。観衆の大歓声が最後まで鳴り止まなかった。

一方でファンの期待を大きく裏切ったのが大関取りに挑んだ関脇若隆景(30)。今場所もまた大詰めの14日目に突如、1人大関の琴桜が右膝のじん帯を損傷して休場するなど大関不足は深刻だ。

それを解消する救世主として期待されたのが若隆景だったが、いきなり初日に敗れて黒星発進。終わってみれば大関取りどころか、14日目に横綱豊昇龍の変化に屈して8敗目。来場所は関脇からも陥落することになった。

八角理事長は「馬力不足だ。(もっと)前に出る力をつけないといけない」と苦虫を噛み潰していた。

ただ、嘆くことはない。ちゃんと代わりが出現した。

6場所制で最速の初土俵から12場所で小結に昇進(付け出しを除く)したばかりの安青錦だ。

幕内で2番目に若い21歳。身長182センチ、体重138キロと決して大柄ではないが、レスリングで鍛えた強靭な上半身を持つ。新入幕以来、3場所連続して2桁の勝ち星を挙げるなど勝負感覚は群を抜いている。

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ウクライナ出身の安青錦「目指すのはここじゃない」

「ハングリー精神が尋常ではない。今場所も10日目に伯桜鵬を破って勝ち越しを決めたんですが、笑顔もそこそこに『私が目指すのはここじゃない。これからだ』と言い放ち、周囲を驚かせていました。
ご存知の通り、ロシアと戦火を交えているウクライナ出身で、両親はドイツに避難中。背負っている物が、平和慣れした周りの力士たちとはまるっきり違うんですよ」(大相撲担当記者)

圧巻は12日目の全勝の豊昇龍戦。突っ張りをかいくぐって攻め込み、切り返しで背中からひっくり返した。

これで対豊昇龍戦は2連勝。完敗の豊昇龍はショックのあまり翌日も敗れているほど。

14日目には4場所連続の11勝。立派な大関候補だ。

八角理事長も「ギリギリ勝っている相撲じゃない。(三役で3場所通算)33勝しなくてもいいのでは」と来場所の大関取りを示唆した。

さあ、安青錦は本物の救世主となれるか。

「週刊実話」10月16日号より