犯行の凄惨さが注目を集めた「3つの平成未解決事件」真相解明への高い障壁

“処刑”を思わせる犯行ぶり

(2)『悪魔の詩』訳者殺人事件
平成3年(1991年)7月にサルマン・ラシュディ氏が書いた小説『悪魔の詩』を翻訳した筑波大学の五十嵐一助教授が、大学構内で惨殺されるという事件が発生した。

原書は昭和63年(1988年)の発表だったが、内容がイスラム教、特に教祖のムハンマドを侮辱しているとして、イランの最高指導者が「作者を殺害せよ」という宗教令(ファトワ)を刊行の翌年に出していたのである。

凶器は半月刀で、犯行現場となったエレベーターホールは血の海。斬られた首はちぎれかかっていたというから、まさにイスラム教徒による処刑を思わせるに十分であった。

結局、犯人不明のまま平成18年(2006年)に時効となった。

ちなみに作者のラシュディ氏は、現在まで15回襲われているが、今なお生き延びている。

(3)井の頭公園バラバラ殺人事件
平成6年(1994年)4月、東京都三鷹市の井の頭公園内のゴミ箱18か所から、半透明のビニール袋に入れられたバラバラ死体が発見された。

身元は公園の近くに住む建設設計会社社員と判明。

遺体は正しく20センチメートルに切り揃えられるという異様な細工を施されており、指紋や掌紋も剥ぎ取られて血痕もなかった。

さらに見つかった部分は体全体のわずか30%ほどに過ぎず、他の部位は見つかっていない。

捜査は当初怨恨の線で進められたが、容疑者を特定するに至らず。

この『井の頭公園バラバラ殺人事件』の捜査はそのまま膠着状態に陥り、現在も迷宮に入ったままだ。

週刊実話増刊『迷宮事件の真実』より一部を抜粋