「持てば世界を征服できる」ヒトラーがロンギヌスの槍を追い求めたワケ

聖槍を失った者には死が訪れる

1938年にオーストリアを併合したヒトラーは、ロンギヌスの槍を含むハプスブルク家の財宝を奪い去った。そして、翌年にはポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦の火ぶたを切って落としている。

「ヒトラーがこの聖槍に執着する理由には、作曲家・ワーグナーも影響しているでしょう。ワーグナーの作品には、ロンギヌスの槍が多く登場します。ヒトラーは、学生のころからワーグナーの大ファン。曲中で黒魔術に使用される聖槍は、オカルトにも興味を持っていたヒトラーの心に、訴えかけるものがあったようです」(ナチス文化に詳しい専門家)

ナチスの政治方針は厳格な現実主義的な面が強かったが、ヒトラーはもちろんナチス・ドイツという国家が、「見えない力」を信じていたことがよく分かる。

ロンギヌスの槍のパワーを得たからかどうかは不明だが、大戦の序盤はナチス・ドイツの連戦連勝。向かうところ敵なしだったが、やがて戦況は一変。連合軍の逆襲にあって、ベルリンは陥落し、ヒトラーも追い詰められる。

1945年4月30日、米軍によってロンギヌスの槍は奪還され、のちに再びハプスブルク家へ戻されている。歴史上、聖槍を失った者にはまもなく死が訪れるとされているが、ヒトラーの自殺は、槍を奪還されてからわずか80分後であった。

週刊実話増刊『超常Xファイル』(小社刊)より抜粋