「持てば世界を征服できる」ヒトラーがロンギヌスの槍を追い求めたワケ

AIで生成したイメージ
十字架にはりつけにされたイエス・キリストを刺したロンギヌスの槍。

この槍は、処刑人だったロンギヌスがキリストの脇腹を指すと血が流れ、患っていた白内障がたちどころに治ったことから「持てば世界を征服できる」との伝説があるが、この槍に魅せられた者の一人が、あのナチス・ドイツを率いた、ヒトラーだったと伝えられている。

その顛末が、小社から発売された週刊実話増刊号『超常Xファイル』(定価790円)に詳報されている。一部をご紹介しよう。

奇跡の逸話が残る聖遺物

歴史上に登場する主なロンギヌスの槍は、4本も存在する。キリストを刺した槍は1本しかないはずなので、非常におかしな話ではあるが、聖遺物にはこういったケースが少なくない。

キリストが磔にされた十字架は、発見されているものだけで10本分に相当する。それはさておき、ナチスが所持しようとした槍は、4本のなかでも、もっとも本物に近いとされる「神聖ローマ帝国の聖槍」だった。

この槍をナチスが持つまでの経緯には、ヒトラーの深い思い入れが関係している。当時、ウィーンのハプスブルク家で保管・展示されていた槍を、若き画家であったヒトラーは見る機会に恵まれた。その時の感動を、ヒトラーはのちにこう語っている。

「私はその槍の前に立って、数分間、ただ静かにそれを見つめていた。するとそれが何か、私の奥底で眠っていたもの、あるいは私が直視することを避け続けてきた“何か”を強烈に呼び覚ましているような感覚に襲われたのだ。そして、私はその槍を、自分が生まれる以前、数世紀前にも一度手にしていたような気がした。私はその槍を持って、世界を手中に収めようとしていた。そう感じたのだ――」