サンマは豊漁、秋サケは不漁 明暗分かれる秋の味覚たち

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近年、記録的な不漁続きだった“秋の味覚”サンマが豊漁の兆しをみせる一方で、秋サケは過去最少の水揚げが予想されている。

昨年まで不漁のサンマは庶民の手に届かない存在になっていた。

今年は8月15日に初水揚げされた北海道根室市・花咲港のサンマ漁が豊漁で、久しぶりに港が活気づいた。

「豊洲市場も盛り上がりました。しかも、入荷されたサンマは脂が乗って近年稀に見る大きさです。
その後も入荷されるサンマは1匹170~200グラム。塩焼きにしたら1人で食べきれない太ったものもゴロゴロある。
価格は昨年だと脂が乗っていなくても1匹2000円したのが、今年は半分の1000円です」(東京・豊洲市場の水産仲卸業者)

一方、同じく“秋の味覚”の代表格の秋サケは、9月から漁が本格的に開始される。

北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場は6月、2025年の秋サケ来遊予測について、昨年を35.5%下回る1141万匹と発表した。

また、本州一の秋サケ水揚げ量を誇る岩手県でも過去最低の見通しだ。【関連】フグが大衆魚に? 規制緩和や免許制度変更で外食チェーン導入拡大

インバウンド客にイクラが大ウケ

岩手県水産技術センターによると、今秋以降、同県内に戻って来る秋サケは93トン。過去最少となった’24年度の2割減という。「秋サケが不漁になれば、原料になる天然イクラの価格にも影響する。イクラの需要は日本食ブームに乗り、世界的に拡大しています。
特に日本にサケを輸出しているロシアでは、自国内でイクラの需要が伸び消費されている。秋サケの不漁も重なり、イクラは年々高騰し続けている」(漁業情報センター関係者)

訪日外国人観光客の間では、イクラをてんこ盛りにする海鮮丼が大人気だ。

「近々でイクラの価格は100グラム2000円前後。昨年の同時期に比べると、倍近くに値上がりしています」(グルメライタ―)

今夏の記録的な猛暑は、野菜や果物の不作をもたらし、価格は軒並み高騰している。新米も同様だ。

「唯一の救いは、サンマが豊漁で庶民の食卓に戻って来そうなことです」(同)

食欲の秋が恨めしい。 

「週刊実話」9月25日号より