藤川監督はノムさんを超えた? 令和の“再生工場”で救援陣パワーアップ

阪神タイガース公式サイトより
最速でセ・リーグを制した「藤川タイガース」の強さの秘密が見えてきた。

「最も評価されているのが、救援陣のパワーアップです」(在阪記者)

チーム防御率は2.12。12球団トップであり、さらに細かく言えば、阪神先発陣の同数値は2.23で、救援陣は驚異の1.95。1点台の数値は阪神だけだ(9月8日現在)。

「セットアッパーは石井大智、9回は岩崎優で締めるパターンができていますが、特定のリリーフ投手に頼り切っているのではなく、救援陣のほぼ全員が好調なのが大きい」(同)

誰も落ちこぼれることなく…。そこに藤川球児監督のエッセンスがあった。

石井たちの活躍が大きすぎて目立たないが、左腕・及川雅貴を復調させた手腕は、もっと評価されてもよさそうだ。

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及川雅貴の完全復活を予期していた!?

「及川は、昨季は不振で一軍登板は僅か9試合でしたが、今季はすでに60試合も使われています」(同)

藤川監督が就任後に最初に声を掛けた投手は、この及川だった。

主な阪神の救援投手の登板数(9月8日現在)は、石井が51試合、岩崎が49、桐敷拓馬が41試合。

及川はホールド40と合わせてチームトップで、防御率も0.94。完全復活と言っていいだろう。

「藤川監督はドジャースの佐々木朗希、ヤクルトの奥川恭伸、阪神の西純矢と共に『高校BIG4』と称された及川に注目。プロ2年目の’21年から一軍で起用されてきました。
藤川監督が着目したのは、横浜高時代の活躍ではなく才能。プロに必要な基礎体力や技術が養われないうちに一軍で通用してしまった。
でも、それは正しい育成ではないから、基礎からやり直して及川の素質を開花させようとしました」(関係者)

救援での登板が多かった及川は、投球フォームが無意識のうちに「横振り」に。

左打者との対戦では効果的だったかもしれないが、及川本来のボールのキレを喪失させた。

藤川監督は投球フォームを高校時代と同じ「縦振り」に戻し、横振りをやめても困らないよう、新しい変化球の習得も勧めた。

「選手の再生工場といえば、野村克也さんが有名でした。及川が今季も不振だったら、消えていたかも。
完全にダメになる前に蘇生させるのが“藤川流”令和の再生工場です」(同)

投手王国・阪神の強さは、まだまだ続きそうだ。

「週刊実話」9月25日号より