【難読漢字よもやま話】「時雨」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


正解は「しぐれ」
【語源と漢字の由来】
この言葉は、晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりを繰り返す、通り雨(一時的な雨)のこと。

さっと降ってすぐにやみ、また晴れ間が見えることもあるのが特徴ですが、この季節限定の言葉であり、夏の夕立や通り雨は通常「時雨」とは呼びません。

この漢字が難読とされるのは、それぞれの漢字の一般的な読み方では「しぐれ」とは読まないからですが、「しぐれ」という語源には諸説あります。

最も有力とされるのは「過ぎる(すぎる)」+「降る(ふる)」が変化した説。「通り過ぎる」の「過ぎる(sugiru)」の音が変化して「shigu」となり、それに「降る(furu)」の「re」が結びついて「しぐれ(shigure)」になったと考えられています。

【時雨に関するトリビア】
●古代では「夏の夕立」も指した
現代において時雨は晩秋から初冬にかけての季語として知られ、しっとりとした風情を伴いますが、平安時代以前の和歌では、夏から秋にかけての激しい「夕立」を指す言葉としても使われていました。時代が下るにつれて、その意味が限定されていった歴史があります。

●実は多様な種類がある
一口に時雨と言っても、その降り方や時間帯、降る場所の偏りによってさまざまな呼び名があります。「村時雨(むらしぐれ)」は、ある村では降っているのに隣の村では降っていないような局地的な時雨を指し、「片時雨(かたしぐれ)」は空の一部だけが雨模様である様子、「小夜時雨(さよしぐれ)」は夜に降る時雨を指します。