『ラストタンゴ・イン・パリ』過激性描写の裏側を描く!『タンゴの後で』は根深い問題に切り込む一作

期待される「インティマシー・コーディネーター」の導入

このコーナーでも取り上げたジュディ・ガーランドの成功の光と影を描いた2019年の作品『ジュディ 虹の彼方に』と比べてしまうんです。“もっとできるのに”と、ややもったいない気がいたしました。

日本でも、ようやく告発が相次いで注目されるようになってきましたが、自分が知っている範囲でも表に出ていないケースがあるのですから、問題は根深い。

そうした状況を打開する一策として「インティマシー・コーディネーター」の導入があります。

映画やテレビ、舞台における性的シーンの演出と安全性を確保する専門家ですが、自分が20年以上選考委員を務めさせていただいている「新語・流行語大賞」で4年前くらいでしたか、推薦させてもらったんです。

基本的には、その年の世相を反映した言葉が選ばれるんですが、今後必ず重要になる言葉も候補にできます。

残念ながら、まだ認知度が低いということで残しきることはできず悔やまれます。「インティマシー・コーディネーター」はそんな思い入れのある言葉ですね。

あまり聞き覚えのない言葉が選ばれている場合、今後、必ずや欠かせなくなるという読みの結果だと受け取っていただければと思います。

タンゴの後で
監督・脚本:ジェシカ・パルー
出演:アナマリア・ヴァルトロメイ、マット・ディロン、ジュゼッペ・マッジョ、セレスト・ブランケル、イヴァン・アタル
配給:トランスフォーマー
9月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開

「週刊実話」9月18日号より

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。