
『コロナ自粛の大罪』宝島社新書/990円
鳥集徹(とりだまり・とおる)
1966年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒。同大学院文学研究科修士課程修了。会社員・出版社勤務等を経て、2004年から医療問題を中心にジャーナリストとして活動。
――本書を著した理由はなんだったのでしょうか?
鳥集 国内での新型コロナウイルスのまん延が明らかになって1年以上経ち、日本を含むアジアでは感染率も死亡率も欧米諸国に比べて数十分の一と低いことが明らかになりました。にもかかわらず、マスコミや知事たちがコロナの不安をあおり続け、政府も厳しい自粛要請を解除できないでいます。
そのために飲食業や観光業などが壊滅的な損害を受け、自殺者数も10年ぶりに増加に転じました。この状況を放置していたら、日本経済・日本社会がボロボロになる。この世論をなんとか変えたいと思ったのが、本書を著した理由です。
――本書では7人の医師へインタビューしていますが、いずれも〝自粛要請を繰り返すべきではない〟という認識で一致していますね。
鳥集 飲食店の時短要請や大型商業施設の休業要請を出しても、その効果が明らかではないからです。三度目の緊急事態宣言が出ましたが、東京都心では人流が減る様子はなく、効果が出ていると実感している人もほとんどいないのではないでしょうか。一方で、長期的な自粛による「副作用」が出ているのは明らかです。「新型コロナのリスクに見合った効率的な対策になっていない」というのが、7人の医師の共通した認識だと思います。
重症者・死者を増やさないことに注力すべき
――東京五輪の開催が懸念されています。開催は可能だと思いますか?
鳥集 東京五輪の開催は「選手ファースト」で決めるべきだと思います。「チャンスを逃したくない」という選手が多ければ開催できるよう社会が全力でサポートすべきですし、「この状況では出場できない」という声が多ければ、中止にしていいでしょう。しかし、選手の声に耳を傾けることなく、政治マターになっていることに怒りを感じます。
また、ワクチン接種が進んでも、感染者が思うように減らない可能性もあります。それでも社会が受け入れる覚悟があるか、タブーなく議論する必要があると思います。
――今後、日本はどのような感染対策をしていけばいいのでしょうか?
鳥集 過剰な自粛要請はやめて、感染者(陽性者)を抑えることより重症者・死者を増やさないことに注力すべきです。地域医療のレベルで早期にコロナ肺炎の治療を開始できれば、医療崩壊を防ぐこともできる。また、クラスターの多くが高齢者施設で発生しています。こうしたハイリスクの人たちがいる場所に集中的にお金と人手を投下するよう、コロナ対策をシフトしていくべきだと考えます。
(聞き手/程原ケン)
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