【難読漢字よもやま話】「強請る」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


ねこのおねだり
【ねだられたら一流? 江戸の花魁文化とは】
「この帯、欲しいわ」
吉原の一流花魁からそんな言葉をかけられることが、江戸の粋人たちの憧れでした。現代の感覚では考えられないこの「おねだり」システムには、高度な心理戦略が隠されています。

三段階で深まる「ねだり」の儀式
(1)初会:小物を控えめにねだる(客の実力を見極めるテスト)
(2)馴染み:高価な着物や簪をリクエスト(関係性の深まりを表現)
(3)内証:身の上話を「聞かせて」と求める(最高の信頼の証)

「粋な客は、ねだられてこそ一人前」という価値観が成立していたようで、歌麿『青楼十二時』には、花魁が客にそっと袖を引く様子が描かれ、この仕草ひとつで、客は「選ばれた」特別感を味わったようです。

また歌舞伎『助六』では、ねだられる客の照れが笑いを誘います。「ねだり」は、『金銭取引を「情」の交換に昇華させる装置』だったともいえるのです。