酷暑でコメ増産が裏目に 悲鳴を上げる農家を救う“防衛力強化”に今こそ乗り出すべき

AIで生成したイメージ
「令和のコメ騒動」の余波で政府は増産に舵を切ったものの、今年の夏は記録的な少雨と高温に見舞われ、コメ農家が悲鳴を上げている。

「南の方では新米の収穫も始まったが、いまだ刈り取り時期にない東日本ではまとまった雨が降らず、田んぼが干上がり稲が枯れ始めている。
一部では線状降水帯の被害も出ているが、日照りでカメムシなどの害虫が大量発生している地域もあり、収穫量が減るのではと危機感が高まっているのです」(農業系専門紙記者)

また、この日照りはコメばかりでなく、ピーマンやトマト、オクラ、きゅうりなどの夏野菜の収穫量にも影響を及ぼしているという。

近年は世界的な猛暑となっているため仕方はないが、生前から食料自給率の低さと食の安全に警鐘を鳴らしてきたのが、ほかならぬ経済アナリストの森永卓郎氏だ。

週刊実話2024年10月3日号掲載「防衛力抜本強化のリアリティー」より ※肩書などは当時のもの

自給率は主要国中で最低の38%

自民党総裁選挙が、政策論争に突入した。

税制や政治資金改革に関しては、意見が分かれているが、岸田政権が打ち出した防衛力の抜本強化に関しては、候補者間にほとんど差異がない。

政党内の戦いなので、安全保障政策に差がないのは当然なのだが、私が一番気になっているのは、候補者が掲げる防衛力抜本強化対策に中身がないことだ。

特に、食料安全保障をどうするのかについて、誰も具体策を述べていないのだ。有事の際に最も大切なことは食料の確保で、古くからいわれるように「腹が減っては、戦はできぬ」なのだ。

ところが、日本の食料安全保障はとてつもなくぜい弱だ。何しろ食料自給率は主要国中で最低の38%、しかも、肥料や飼料などを海外に頼っているので、実質的な自給率は10%程度といわれている。

そうしたなかで有事となれば、まず大都市の住民が飢えてしまうと、私は一貫して訴えてきた。

その見立ては、図らずも「令和の米騒動」で実証された。大都市のスーパーやホームセンターの店頭から、コメが消えたのだ。

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