賃金が上がらない原因は役員報酬にアリ? 大企業が「黒字下リストラ」で焼け太り

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7月の参院選では自民党が惨敗したが、選挙中から消費税減税論争をめぐる問題となっていたのがその使途だ。

参院選では消費税減税を唱える野党各党と、10%の消費税を堅持しようとする自民党の論争が注目を集めた。

結局、廃止や税率を下げることを訴えた党が議席を伸ばしたが、選挙中に野党候補者が痛烈な消費税のインチキぶりを暴露することも多かった。

消費税の全額が社会保障費に回されていないことを指摘した揚げ句、「徴収された消費税の約61%は大企業減税の穴埋めに使われている」「トヨタや本田技研をはじめとする輸出企業は莫大な消費税の還付金を受けている」「実質輸出企業が支払っている消費税はゼロ」などと、大企業批判を展開する者も少なくなかった。

こうした不公平さと大企業の“儲け主義”に警鐘を鳴らしていたのが、今年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏だ。

週刊実話2025年2月13日号掲載「黒字でもリストラに走る企業」より ※肩書などは当時のもの

早期退職者は前年の3倍増

東京商工リサーチによると、2024年に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は57社で、前年から39.0%増加した。

募集人数は1万9人と前年の3161人に比べ3倍に急増している。

早期・希望退職は一種のリストラだが、募集企業には、資生堂、ソニーグルーブ、ワコールHD、協和キリン、富士通、武田薬品、ダイドーグループHDなど、超一流企業の名前がズラリと並んでいる。

今回のリストラの大きな特徴の一つは、リストラの対象に20代の従業員まで含めている企業が多いことだ。

そして、何より直近の決算で約6割、34社もの企業が黒字にもかかわらず、リストラを行っている。

かつてリストラは、企業経営が追い詰められ、刀折れ矢尽きてから、やむを得ず行うものだった。

しかし、最近は経営に余裕があるなかで、平然とリストラが行われるようになっている。そのことは、役員報酬の推移でも確認できる。

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