自民党内抗争さらに激化! それでも石破首相が政権にしがみつく呆れた理由

石破茂 (C)週刊実話Web
【亡国の政治ドキュメント(1)】
参院選で惨敗し、石破茂首相の辞任は不可避との見方が強まった。しかし、両院議員総会を経ても首相の続投への意欲は強く、自民党内で「石破おろし」の動きは激しくなる一方だ。
果たして、首相は最高権力者の地位から引きずり降ろされるのか。国民不在の権力闘争が本格化している(全2回中の1回目)

政権維持を目指す首相の一縷の望み

「8月はいろいろと日程がある。広島、長崎の原爆式典と戦没者追悼式、それと20日からのアフリカ開発会議(TICAD)では議長を務めたい。月末にはインドのモディ首相も迎えたい。そこまでやれば、後の段取りは執行部に任せたいと思う」

参院選の投票が進む7月20日午後、石破茂首相は東京・赤坂の衆院議員宿舎の自室に、森山裕党幹事長と木原誠二党選対委員長を密かに呼び、こう伝えた。

8月末までは首相に留まり、その後は執行部で総裁選の日程を決め、後継総裁を選んでほしいという事実上の辞意表明だった。

だが、ここで翻意を促したのが森山氏だった。

「党の調査では大敗しません。続投は可能です」

事情を知る自民党関係者が話す。

「自民、公明両党が非改選を含めて過半数維持に必要なのは50議席。新聞やテレビは50を大きく割り込むと報じており、各社の出口調査も『自公惨敗』を示す厳しい数字ばかりだった。
だが、自民の最終盤調査は自公で48~49取れるとなっていた。首相は、幹事長と選対委員長にも辞めてもらうために2人を呼んだが、森山氏の説明に意を強くし、表明しない方針がここで決まった」

実は、首相には政権維持への一縷の望みがあった。米政府から関税交渉で前向きなサインが来ていたのだ。

トランプ米大統領が日本に突き付けた相互関税25%の全面発動の猶予期間は7月末で、発動されれば石破政権は大きなダメージを受けることになるのは明白だった。

別の日本政府関係者が明かす。

「日本側は自動車分を含め、15%なら受け入れると6月下旬に伝え、詰めの交渉をするため、大阪・関西万博の米国ナショナルデーである7月19日に合わせ、交渉を仕切るベッセント財務長官の訪日が決まった。
来日したベッセント氏は赤沢亮正経済再生相と都内のホテルで密かに会談。交渉は大筋でまとまり、ベッセント氏は『この内容で大統領に上げる』と赤沢氏に握手を求め、早期訪米を促した」

赤沢氏が訪米し最終合意できれば、失った求心力と世論の支持を取り戻せるかもしれない――こう考えた首相がその後、21日の記者会見で続投を表明し、22日には日米が関税交渉で合意したのは周知の通りだ。