【難読漢字よもやま話】「讒謗」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


卑劣な中傷や陰口を指す言葉
【讒謗によって運命を変えられた菅原道真】
日本の歴史にも、讒謗によって運命を大きく変えられた人物がいます。それが、後に「学問の神様」として名を残す菅原道真(すがわらのみちざね)です。

平安時代、宇多天皇の厚い信頼を受けた道真は、右大臣として政治の中心にいました。しかし、政敵である藤原時平らによって「謀反の疑いあり」との讒言が広められ、突如として太宰府へ左遷されてしまうのです。

その後、都では疫病や天変地異が相次ぎ、「これは道真の怨霊の祟りだ」と恐れられるように。

やがて朝廷は彼を神格化し、「天満天神」として全国に祀るようになった——この出来事が、天満宮の始まりと言われています。

現代でも、SNSやネット掲示板などでの誹謗中傷が大きな社会問題となっています。たとえば、軽い気持ちで口にした言葉が、思わぬ波紋を広げることもある。

「讒謗」という難しい漢字の中には、古代から現代にいたるまで、人の口がもたらす“功”と“罪”のすべてが詰まっているのかもしれません。