生活保護申請者の7割が門前払いされる「水際作戦」の実態

AIで生成したイメージ
生活保護の相談や申請を扱う窓口には「水際作戦」というものが存在する。

簡単に言えば「受給要件を満たしているにもかかわらず、言いがかりをつけて追い返す」という、悪質かつ違法とも言えるものだ。

特に地方自治体などでは不正受給への警戒や財政難を理由に「水際作戦」を奨励、促進し、その結果、生活困窮者が必要な保護を受けられずにいることがしばしば問題になっている。

「申請率は3割」だと言われ、相談者の7割が門前払いされるという生活保護の実態を、実例をあげて紹介する。

A子さん(34歳)の場合。
5年間の結婚生活を経て、昨年調停離婚したA子さんは実家にも頼れずに自立することになったのだが、婚姻中の夫のDVが原因で鬱病を発症。
極度の対人恐怖症のため働くことができず、地元の福祉事務所に相談に行ったのだが、申請すらさせてもらえなかったという。

「心療内科の診断書や投薬を受けている証拠として、おくすり手帳なども持ち込んだんですが『ここまで来られて、こうやって話ができるわけですから、普通に働けると思いますよ』とまず言われました。
私としては精神安定剤を服用し、いろいろな不安とか恐怖に耐えながら必死に足を運んだのに、まったく分かってもらえませんでした」

いかに自分の病状が深刻であるかを訴えるA子さんに、担当者は「精神疾患は自己申告で成り立つから詐病しやすいんですよね」と疑惑の目を向けた。

さらに「それこそ、自殺未遂を繰り返すくらいじゃないと深刻な鬱病とは認められないんですよ」と言い放ったという。

「それを聞いて心が折れました。私が『分かりました』と言って席を立つと、担当者は『はいはい、ご苦労さまでした』とうんざりした様子ですぐに背中を向けましたし、最初から話を聞く気なんてなかったんだなと思いました」

失意の中、A子さんは生活支援を行うNPO法人に相談。申請を受け付けてくれる自治体を求めて転居を考えているという。

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