中森明菜のもっとも売れたシングルは?『少女A』からの“落差”が大ヒットの要因に
2025.08.02
エンタメ
中森明菜『セカンド・ラブ』作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお、編曲:萩田光雄、1982年11月10日発売
スージー鈴木氏による新連載「週刊歌謡実話」、前2回の早見優『夏色のナンシー』に続き、今回は中森明菜『セカンド・ラブ』をお届けする。
中森明菜のもっとも売れたシングルは?
突然ですが、「中森明菜のもっとも売れたシングルは?」と聞かれると、あなたは何と答えますか?
「抜群の話題性を持っていた『少女A』?」
「レコード大賞の『ミ・アモーレ』?」
「いや、やっぱり『難破船』では?」
いえいえ。正解は、実はこの『セカンド・ラブ』なのです。
今年還暦。長いキャリアを誇る中森明菜ですが、売上的なピークは、シングルたった3枚目。実に早かったのでした。
ただ『少女A』だと思った人の気持ちも分かります。未成年の犯罪者を思わせる物騒なタイトルの曲を、堂々と歌いきった弱冠17歳の中森明菜の姿は、そうとうなインパクトを持っていました。
そして「ぶりっ子=松田聖子、ツッパリ=中森明菜」という対立の図式が煽られたこともあって、アイドルが豊作だった、いわゆる「花の82年組」の中から、明菜が一歩抜け出すきっかけとなった曲でした。
でも一番売れたのは『少女A』よりも『セカンド・ラブ』。なぜか。私は、この2曲の「落差」にヒントがあると思います。
ツッパリイメージから一転、しっとり純愛の『セカンド・ラブ』を歌う中森明菜。前作との大きな落差に耳がキーンとなったものでした。
「あいつ、ツッパリだと思ったら、案外純情だな」「あたし、やんちゃしてるけど、ほんとはピュアなんだ」という、日本人が好き過ぎる「落差物語」に、当時、多くの男子(一部女子も)が、心を撃ち抜かれてしまったと思うのです。
そう考えると、シングルの選曲は、とても戦略的だったと言えましょう。
【スージー鈴木の週刊歌謡実話アーカイブ】
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