【難読漢字よもやま話】「靉靆」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識



余韻のある空模様の表現にぴったり
【空・雲・情景描写にぴったりな表現】
「靉靆」は、単なる曇天とは違い、“情緒のある曇り”や“余韻を感じる空模様”を表現するのに使われます。文学・俳句・和歌で用いられる際は、「哀愁」「余情」「夢幻」などの情緒と結びつくことが多いです。

●漢詩より:「靉靆たる煙雲、峰を覆いて千里を隠す」
→ 靉靆とたなびく雲が山を覆い、景色をかすませる様子を表したもの。

●俳句や短歌でも:「靉靆と うす墨にゆく 春の空」
→ 霞が空を覆うように、季節の移ろいを静かに表現したもの。

たとえば、晴天でも曇天でもない、どこか物思いにふけるような空。それを「くもっている」と片づけるのではなく、「靉靆たる空」と表現できる感性があると、日常が少しだけ詩になる。そんな“言葉の余白”が、難読漢字には込められています。