楽天vs総務省“1兆円訴訟”ウラに確執 楽天モバイルを巡って関係悪化か

『楽天ふるさと納税』公式HPより
【ふるさと納税の功罪(2)】
活況を帯びる『ふるさと納税』。2023年度は初めて寄付額が1兆円を超えた。
ふるさと納税の普及に一役買った仲介ポータルサイトを運営する楽天グループが、国を相手取って行政訴訟を起こした。
裏では楽天VS総務省の携帯電話事業を巡る亀裂がささやかれている。(全2回中の第2回。第1回を読む

楽天が規制反対295万人の署名を提出

総務省は、返礼品競争の過熱や、反対を表明する自治体の動きを受け、制度の修正を進めてきた。そして昨年6月、ついにポイント付与に手をつけたのだ。

自治体は、『楽天ふるさと納税』など仲介サイトで返礼品を紹介してもらう際、楽天グループなどの運営会社に手数料を支払っているが、総務省は「仲介サイトがポイント付与で利用者を囲い込むなど競争が過熱している」「自治体が仲介サイトに支払っている手数料がポイントの原資になっている可能性がある」などと指摘し、自治体に対して、ポイントを付与する仲介サイトの利用を禁止するという総務省告示を出した。今年10月1日から運用される予定だ。

こうした総務省の対応に、仲介サイト側は反発。楽天グループは告示に反対する署名活動を行い、三木谷浩史会長兼社長は今年3月、約295万人の署名を石破茂首相に提出。その後も告示の撤回を求めて総務省側と交渉を続けてきたが、方針が変更されることはなかった。

そして7月10日、楽天グループは「ポイント付与の全面禁止は、ふるさと納税制度の普及に向けた民間企業と自治体の協力・連携体制や努力、工夫を否定するだけでなく、ポータルサイト事業者へ過剰な規制を課すもの。総務大臣の裁量権の範囲を逸脱し、濫用する違法なものである」などとして、総務省告示が無効であることの確認を求める行政訴訟を東京地裁に起こしたのだ。

楽天グループは「自治体に向けてデータの活用ノウハウを含めたコンサルティング、DX支援なども行うことで、ふるさと納税の普及促進に取り組んできた。ポイント付与は2015年に楽天ふるさと納税を開設してから変わることなく、10年以上にわたり行ってきたものであり、2019年からは自治体に負担を求めず当社の負担で実施している」と説明したうえで、「クレジット会社等による決済に伴うポイント付与は引き続き認められており、ポータルサイトによるポイント付与を一律全面禁止するのは過剰な規制である」との主張を展開している。

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