楽天vs総務省“1兆円訴訟”ウラに確執 楽天モバイルを巡って関係悪化か

総務省の楽天への行政指導は10回近く

楽天は「第4のキャリア」として携帯電話キャリア事業への進出を果たすなど、総務省との良好な関係の下、事業を展開してきたが、ここにきて暗雲が立ち込めている。

総務省は今年5月、楽天モバイルに対し、高速・大容量の通信規格「5G」の基地局開設が遅延しているとして、行政指導を行っている。

2022年12月には、同年9月に発生した大規模な通信障害に対し、再発防止に向けた取り組みをするよう行政指導を出しており、亀裂は深まっていたという。

「総務省の楽天への行政指導の回数は10回近くに達しており、不信感が広がっているのではないか。同業他社の『さとふる』と『ふるなび』などは現時点で楽天に追随しておらず、静観の姿勢をみせているのが不気味ですね」(全国紙総務省担当記者)

ふるさと納税を巡り国と裁判沙汰になっているのが、2023年度の納税受入額全国3位の大阪府泉佐野市だ。

同納税で多額の寄付収入を得たことを理由に、国が特別交付税を減額したのは違法だとして、泉佐野市は減額決定の取り消しを求め提訴。

2月27日、最高裁第1小法廷は「特別交付税を巡る国と自治体の争いは裁判の対象になる」との初判断を示し、市の訴えを却下した2審・大阪高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻した。

ふるさと納税制度導入を総務相時代に打ち出し、けん引した菅義偉元首相は、ふるさと納税サイトのインタビューでこう答えている。

「当時の官僚からは、税の根幹を揺るがす、と当初猛反対されました。消防や救急、福祉、ゴミ処理といった行政サービスが受けられるのは、現在住んでいる住民であり、その方々が税を負担するという受益と負担の原則から外れると反対されたのです」

楽天vs総務省の戦いは、ある意味、宿命的なものと言える。

訴訟の行方は見守るしかないが、国民の利益となる結論に落ち着くことが何よりも望まれる。

「週刊実話」8月7日号より