【難読漢字よもやま話】「螽斯」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識


子孫繫栄のシンボル?
【子孫繫栄のシンボル】
中国最古の詩集『詩経』には、螽斯(キリギリス)の多産性をたたえる詩があり、「子々孫々の繁栄を願う象徴」として扱われてきました。

特に結婚や出産の祝いの文言として「螽斯之慶(しゅうしのけい)」という表現が用いられました。

【あの童話の本当のモデルは違う!?】
イソップ童話『アリとキリギリス』では、働き者のアリと遊んでばかりのキリギリスが対比されます。しかし、原典のギリシャ語では「キリギリス」ではなく「セミ」だったとも言われており、後の翻訳で虫の種類がすり替わった説があります。

螽斯という漢字には、虫という自然の一部でありながら、文学や思想、文化を通じて長く受け継がれてきた深い意味が込められています。ただの「虫」ではなく、「希望」や「未来」を象徴する存在だったのです。

一見難しそうな文字の奥に、こんな物語が隠れている。それが、難読漢字の面白さでもあります。